第2話 歌舞伎町の家来
まえがき
知名は実在しますが、小説の内容はフィクションです。
小滝橋通りの路地を入ると小さなホテルが目立つ。
連れ込み旅館として知られる宿の前には料金が表示された怪しい看板が並んでいる。
ホテル街は新大久保駅を越え明治通りまで伸びていた。
この界隈には立ちんぼと呼ばれるコールガールが道を塞ぐことがあった。
「お兄ちゃん、これでどう」
少女は指を立て金額を示唆してスカートを捲くし上げた。
男が秘密の花園を無視すると、女は中指を頭上に突き上げ捨て台詞を吐いた。
危険地帯を東に進むと職安通りだ。
この付近にも大きな公園があり同じ稼業の女たちがマイクロミニスカートで立っている。
一目見ればそれと分かる出立ちはYBSGレベルだ。
視線を避け離れて歩く。
野良猫が歩道の隅を先導していた。
⬜︎⬜︎⬜︎
職安通りから明治通りの裏通りには、大きなラブホテルやホストクラブが立ち並んでいる。
この辺りは歌舞伎町の裏の顔だ。
靖国通りの手前には花園神社がある。
大鳥居の右手には芸能浅間神社が祀られている。
芸能界で成功を目指す金の卵たちの人気神社だ。
本殿横の社務所で芸能のお守りを頂くことが出来た。
境内のお稲荷さんの付近では野良猫が熟睡していた。
⬜︎⬜︎⬜︎
靖国通りを西に進めば新宿大ガード、そこをくぐり抜け小滝橋通りと交差する交差点に出る。
右に進めば都道の職安通りを越えホテル街の元に通り戻る。
報道を賑わせる歌舞伎町の盛り場は神社の裏側にあった。
靖国通りから職安通りまでの間には居酒屋や風俗店、クラブが乱立していた。
明暗が交差する内藤新宿の表の顔は神社と区役所だった。
今は超高層ビルの歌舞伎町タワーがランドマークになって人気を集めている。
旧コマ劇場の場所には東宝のゴジラが歌舞伎町を見下ろしていた。
人気の観光スポットになっている。
防犯パトロールの警察官が目立つエリアでもあった。
⬜︎⬜︎⬜︎
昼夜、歌舞伎町の路地裏を巡廻しているのは野良猫たちだった。
「ご主人さま、何かご用で」
「特にないが治安はどうなっている」
「はい、虎の報告では昨夜の事件はありません」
「そうか、他はどうだ」
「他も動きはございませんが」
「ーー が、どうした」
「姐御から連絡がありません」
「分かった。次は花園神社の境内で来週に会おう」
虎吉は一礼すると忍者のように消えた。
⬜︎⬜︎⬜︎
境内の隅でスクリューキャップのワインボトルを開け簡易コップに注いだ。
「進一さん、今夜はお祭りですね」
「小雪さん、もうあれから1か月になるね」
「ええ、あの時は、お友達に頼まれてタクシー運転手代行をしたの」
「じゃあ、それが無ければ、この出逢いは無かったね」
「いいえ、あのワインボトルもよ」
「偶然が重なった瞬間から必然になったわけ」
「女の子は運命とかに奇跡を感じるのよ」
そう言って、小雪はアーモンドを口運んだ。
そよ風で小雪のポニーテールが進一の頬を撫でた。
⬜︎⬜︎⬜︎
夜店の準備が進められていた。
テキ屋の屋台から食欲をそそる匂いがしている。
進一と小雪は、静かな場所に移動して細やかな宴会を楽しんだ。
進一は、路地裏の野良猫の話を小雪にして笑った。
「進一さん、その話、ファンタジーがあるのじゃない」
「そうね、猫たちは意外と宇宙人かも知れないね」
お読みいただき、ありがとうございます!
ブックマーク、評価を頂けると嬉しいです。
投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。
三日月未来




