第3話 女子高生沙月
まえがき
タイトルを変更しました。
「路地裏のどら猫」から「路地裏の女子高生」
虎吉は御機嫌を隠せずに境内をジャンプしながら移動していた。
参道の中央は正中と呼ばれる神さまだけの通り道。
虎吉は夢中のあまり、そのタブーを忘れていた。
虎吉は両手両足で参道のど真ん中の正中に着地してしまった。
突然、参道の中央から虹色の大きな眩ゆい光が虎吉に向かって照射された。
虎吉の肉体が参道の真上の空中に浮かび上がった。
虎吉は混乱して何が起こったかを理解できなかった。
[ただいま、あなたはスキルを獲得しました]
虎吉は耳を疑った。
虎吉の前に透明なパネルが表示された。
[あなたは変身スキルSを獲得しました]
[これからは人間の女子高生になります]
[戻ることはできません]
[マジックボックスをお渡しします。衣裳はその中にあります]
[追加スキルも、あなたの活躍次第で付与されます]
忽然と虹色の光が消え、虎吉は女子高生になっていた。
女神が石畳の上で微笑んで虎吉の額に手を翳す。
金色の光の御札が虎吉の額の中に消えた。
「困ったことあれば額に其方の手を当て願いなさい。奇跡を見ることができるでしょう」
虎吉は女神の御加護を受けた。
⬜︎⬜︎⬜︎
約束の時刻、進一の前に虎吉が現れ説明した。
「虎吉、それは」
「憧れた姿ですにゃん」
「虎吉、女子高生姿ですよ」
「ご主人さま、憧れですにゃん」
「虎吉は男じゃなかったのか」
「ご主人さま、それは違いますにゃん」
「名前が一致しなすぎ」
「そそかしい母親が間違えて猫役所に届けたにゃ」
「分かった。分かった、ところであれは」
「行方不明事件ですにゃ」
虎吉はそう言って、鞄からシャーロックホームズ風の帽子を取り出し覆った。
⬜︎⬜︎⬜︎
虎吉の猫語は治っていない。
「ご主人さま、どうですにゃ」
「似合っているよ。虎吉、名前、変えようか」
「どんなのにゃん」
進一は、小雪の耳元で囁き言った。
「沙月なんて、どうですか」
「ご主人さま、素敵にゃん」
「じゃあ沙月、事件の調査進んでいるかなぁ」
⬜︎⬜︎⬜︎
沙月になった虎吉は女子高生姿のまま、進一と小雪に説明を始めた。
「ーー と言う訳で、失踪事件は神隠しにゃ」
「沙月、ちょっと分からないんだけど」
「ご主人さま、生還者の証言では謎の光の渦に吸い込まれたそうです」
進一と小雪は沙月の説明に頷きながらも訝しげな表情を浮かべた。
進一は沙月の言葉をメモして息を漏らす。
「経緯は分かったけど、原因が不明だ」
「ご主人さま、噂ではその事件前に近くで電磁場実験があったそうです」
「なるほどそうか」
進一は手のひらを拳で叩いた。
「ご主人さま、分かりましたかにゃあ」
「全然分からない。超常現象か事故かが分からない」
小雪が進一に囁いた。
「もしかしたら、時空の落とし穴じゃないかしら」
「じゃ、次元空間が関係しているかもしれない」
「進一さん、前に次元扉のドラマを見たことがあるわ」
進一は発生場所と生還場所を確認した。
「沙月、発生場所は電磁場実験の近くだけど、生還場所は離れている」
「進一さん、生還場所の近くにも電磁場実験の同じ会社があります」
3人は顔を見合わせた。
「沙月、その会社を徹底的に調べてくれるか」
「もちろんにゃあ、ご主人さま」
沙月は境内の裏参道の鳥居から姿を消した。
⬜︎⬜︎⬜︎
残された進一と小雪はメモを見ながら推測した。
「整理してみると、失踪事件、神隠し、謎の電磁場実験事故」
「進一さん、実験の目的が分からないわ」
「目的の断片が分かれば糸口に繋がる気がする」
「そうね、沙月さんの報告を待ちましょう」
お読みいただき、ありがとうございます!
ブックマーク、評価を頂けると嬉しいです。
投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。
三日月未来




