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RG50E  作者: HARIMA
25/47

㉕暴露。

烈貴と美葉は先輩・後輩の域を越え、カップルとなった。


放課後だけでなく、昼休みも校舎の屋上で(雨の日は学食で)落ち合い、時を共にするようになっていた。


ここの高校は、このような空気を容認する傾向があり。

二人と同様な男女ペアを見かけるのも珍しくは無い界隈となっている。

中には、学食で隣りを陣取るカップル同士で親密さを競い合う………等という"微笑えましい”シーンも見られる。



美葉のクラス………一年A組の、特に女子同級生達は驚きを隠せないでいた。


教室での美葉は、入学当初から所謂"陰キャ女子”で通っていた。

クラス内女子の幾つかのグループ、特に"一軍女子”らの専らの話題………気になる男子・彼氏、コスメ、たまに推し活ネタといった話などとは無縁であり。

ひたすら吹奏楽と勉強のこと以外には目も向けない地味な"三軍女子”などというレッテルを勝手に貼られていた。


ところが………7月に入った途端!


「ねぇねぇ!

ガチ・スクープ!!

美葉にカレシだってよ?

知ってた!?」


「えぇぇ!?

それほんmoney!?」


「ガチなの?

ウチでさえ非リアってるってのに!」


「ソイツの顔見てみたい!

エモ過ぎる事実(笑)」


教室でスナック菓子をボリボリ頬張りながらの"若き井戸端会議”は盛り上がりを見せていた。


当の美葉本人は、そうしたネタにされている事実など何処吹く風。

クラスなど仮の姿をさらす低俗な場でしかなく、本当の自分は音楽室と………烈貴の前で出せれば満足であった。


通常は部活内恋愛となった場合。

そうして異性として意識するほど、活動そのものに支障をきたすのでは?と思われがちだが。

烈貴と美葉の場合は逆であり、むしろ確固となった関係が演奏にも安定感を与え始めていた。


烈貴も苦手としていた演奏区間で思い切りの良さが定着し"アタリ”の確率が高くなった。

更に烈貴が"上達”したおかげで?美葉も自身の演奏に集中出来るようになり、全体通しの際にもトロンボーンの音色が映え。

以前とは比べものにならぬ程、部全体での響きにクオリティ増しが感じられ。

コンクールを目前に控え、万全な様相となっている。


まさに"愛は強し”であった。



そんな………順風満帆に見えた、ある日のこと。


屋上で仲良くランチタイムを済ませた二人が、渡り廊下を並んで歩いていると………

向こうから見覚えのある長身の女子が姿を現した。


莉奈だ。


思わず凍り付く、烈貴。

表情も変えずに歩く、美葉。


莉奈は………ニヤリと笑う。


「………あら?

あんた達、もしかして付き合ってるの?」


俯く烈貴の手を引っ張るようにして、美葉は黙って通り過ぎようとする。


擦れ違ってニ、三歩進んだ背後で、聞こえるように莉奈は呟く。


「烈貴。

またモーテルで、あたしをイかせてね」


身体を硬直させる烈貴。

振り向く美葉。


「!?」


莉奈は、卑猥な笑みを浮かべながら二人を眺める。


「………近藤さん。

アンタ、知ってる?

烈貴の童貞を頂いたの、あたしだってこと」


莉奈に背を向けたままの烈貴の額に、瞬く間に脂汗が滲み。

直ちに粒となって滴り落ちる。


美葉は………黙って莉奈を睨みつけている。

それを莉奈は見下ろし、得意気に語りだす。


「烈貴。

あれから、あたし。

あなたにベッドで可愛がられた日々が、忘れられなくて。

あなたの唇………あなたの舌が這い回って。

硬くなった、あなた自身が。

あたしの中で何度も………何度も………出入りして。

何度も泣かされたの………

忘れられるはずも無いわ」


自ら語る内容に、身震いまでして陶酔の表情をする莉奈。


この瞬間を待っていた。


一年も待った自分から、烈貴を奪おうとする"泥棒猫”……美葉を。

これ以上無い屈辱と嫉妬の渦へと叩き落とす快感に、莉奈は震えた。


莉奈は更に。


「ねえ、聞いて聞いて!

烈貴のって、おっきくてね、こんなになるの!

こんなよ!?

もう、たまんないの!!」


莉奈はカッと目を見開き。

割けるか?と思うほどに口角を上げた悪魔の形相をしながら、両手を使い、そのサイズを美葉へと見せつける。


烈貴は両手で耳を覆い、卒倒しそうになっている。

ようやく、真実の愛そのものに辿り着けたはずが………

その愛する人の前で、全てが崩れ去ろうとしている。


全ては………自らの撒いた種。

極度の絶望と自己嫌悪に、烈貴は吐き気をもよおして来た。


もう………おしまいだ………何もかも………



「………下品」


美葉の呟く声がする。

崩れ落ちそうに、前のめりになる烈貴。


だが。


その言葉は、烈貴に向けたものでは無かった。


莉奈へ向いている美葉の顔は。

憤怒の表情から、氷のように冷めたものへと変わった。


「やっぱり、あなたって。

どこまでも下品な人ね。

何の反省もしてない………

サイテー過ぎて呆れるってか、通り越してタダの哀れで変な人!」


思わぬ美葉の言葉に、今度は莉奈が凍り付く。


烈貴に向き直り、笑顔を見せる美葉。


「先輩、行きましょ♫」


美葉は烈貴の腕を取り、支えるように歩き去ろうとする。

その背中へ、ナイフで刺すかのように叫ぶ莉奈。


「………烈貴ィ!!

あたしは、忘れないからねッ!!」


一度だけ美葉は立ち止まり。

冷たい表情を莉奈へ向け、言った。


「何があったか知らないけど。

過ぎ去ったことなんか、どうでもいいの。

私達の未来の邪魔をしないで」


美葉は更に続けた。

今度は烈火の如くの表情だ。


「私には何を言っても構わないけど。

高橋先輩を傷付けるのは、絶対許さないから!!」


そう言い残し、美葉は踵を返し。

烈貴を抱きかかえるようにして去って行った。


渡り廊下に独り残され、立ち尽くす莉奈は。

血を滲ませる程、唇を噛み締め。

目を血走らせながら両拳を握り締める。


「………あの……メスガキがぁ!!!」


怒りに震える莉奈が、妖気を漂わせていた。



続く


〈暴露・完〉

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