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RG50E  作者: HARIMA
24/47

㉔新たな決意。

二人で海へ出かけた、翌日の月曜日。


烈貴と美葉は、いつものように放課後の音楽室でトロンボーンを抱え、並んで座っている。

全体練習前のパート練習も、これまでと全く変わらず和気あいあいとしながらも、コンクールを目前とした緊張感を保っていた。


二人とも若いながら、互いに繋がるべくして繋がったのだと感じていた。




前日、海からの帰り。

電車の席に並んで座りながら、二人は手を繋ぎ、身体を寄せ合っていた。


40分という乗車時間を短く感じた。

心地良い疲れが瞼を重くしていたが、下手をすると乗り過ごしてしまう為。

烈貴自身は眠るまいと頑張っていた。

眠気を覚ますことが出来たのは、烈貴の肩に寄りかかる美葉の寝顔の可愛らしさのおかげであった。


地元駅に着き、改札を抜けた駐輪場で二人は向き合う。


「………明日、また……会えますよね」


見つめる美葉の瞳が潤んでいる。

こんな美葉の顔を見たのも、初めてだった。


「ああ。

明日の今頃も、一緒に居るだろね」


そう言って烈貴は笑ってみせたが、美葉は抱きついてきた。


「………明日までなんて……待てない!

ずっと……一緒に居たい」


美葉は、泣いていた。

これまで秘めていた烈貴への思いを、一気に解放するのを許されたかのように。


抱き締め合う美葉の背中を撫でながら、烈貴は囁く。


「………必ず会えるよ。

これからも、毎日」


涙に濡れた顔を上げた美葉に、烈貴は口づけする。

美葉は、ゆっくり瞼を閉じたのだった………



自宅玄関にて。

帰宅した烈貴を、妹の茉莉が仁王立ちで出迎えた。

形相が険しい。

時計は夜7:00を越えたところであった。


「ただいま……」


怪訝そうに擦れ違おうとする兄に、お帰り………の挨拶もせず。

茉莉は横目で睨みつけながら、無言で鼻をヒクヒクさせる。

烈貴は背筋の凍る思いがした。

………が、しかし。

その時、烈貴から漂ってきたのは、焼けた潮の香りだけであった。


「烈貴!

夕ご飯くらい食べなさい!!」


階段を登ろうとする烈貴を、母親の明美が呼び止める。


「………後で食べるよ、今は要らない」


そう呟いて、自室へ消えようとする烈貴。

今、ダイニング・キッチンの席に着けば例の"説教責め”に遭い、食事どころではない。


しかし、この母親は許さない。


「ホントに!

その歳で"女遊び”ばかりして!!

まったく………誰に似たのかしらね?」


居間でテレビを観ていた、父親・正和が声を荒げる。


「いい加減にしろ!!

息子は母親の"持ち物”じゃねェんだぞ!?

烈貴だっていい加減デケェんだら、黙って見守るくらいの余裕持てよ!!」


「黙って見守るって………もし間違いでも起こしたら、どうするのッ!?」


「その為に親が居るんだろうがッ!!

第一、アイツはそこまでバカじゃねぇ!

自分の子を信じねェで、どうする!?」




………美葉は。

自宅の湯船に浸かりながら1日を振り返り、物思いに耽っていた。

日焼け止めは塗っていたものの、やはり首筋や腕のアチコチがヒリつく。

しかし………そんなことは、どうでもよくなっていた。


時折、どうしても顔がニヤけてしまう。


(………ああ!

先輩と、両思いになれるなんて………!

しかも?

あんな素敵なシチュエーションでカミングアウトで初キスなんて………有り得ないよ。

ホント夢みたい!!

夢なら覚めないでほしい!)


これから烈貴との、どんな幸せな日々が待ってるのか?

考えだすとキリが無くなり、危うくのぼせそうになる美葉。


バスルームから出て、脱衣場の全身鏡の前に立つ。

タオルも纏わず、白い肌に水滴のまとわりついた自分を見つめる。


(………やっぱり、気になるよな〜。

そんなこと無いって先輩、言ってくれたけど。

ここらへんが………)


自分の下腹や腰、太腿の辺りを注視し、ため息をつく。

私、太ってるから………と自嘲したことにふれ


「全然、そんなふうに見えない。

女の子らしいスタイルだよ」


と烈貴は言ってくれたのだが………


(………先輩、優しいから)


の一言で済ませてしまう。


「………ヨシ!

ダイエットするぞ!!」


生まれて初めて出来た彼氏の為に、美葉は拳を掲げて決心するのであった。



続く


〈新たな決意・完〉

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