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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
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96.エリスとの出会い③



 思ったとおり腹も膨れて落ち着いたのか、エリスは部屋に着くと俺の問いかけに少しずつ答えるようになってくれた。

 彼女の話を要約すると、家が例の大鬼の襲撃に遭い、父も母も目の前で殺されてしまったようである。

 一番近い隣人の家でもかなり離れた場所にあり、助けを求めようと逃げ出したものの、そのまま道に迷ってしまったようだ。

 何処の世界にも悪党はいるもので、そのとき出くわしたのが例の人攫い共である。

 助けになってくれるかもしれないと思い、事情を説明したところ、その連中は「保護して役人に引き渡せば、かなりの報酬がもらえるよな」「馬鹿言ってんじゃねぇ! 俺たちは元々、難民のガキ共を拐うのが目的でここにきたんだぞ! 奴隷商に売った方が何倍も金になるだろが」というような事を言い始めたらしい。

 身の危険を感じその場で逃げ出したところ、けっきょく捕まってしまい、そのあと酷い暴行を受ける目に遭ってしまったようだ。


「シンジュウロウは、わたしのこと売ったりしない?」


 そう前置きしてから話し始めたので、やはり俺の事もなかなか信用してくれてはいなかったのだろう。

 まぁ、それだけ酷い目に遭っていたのだから当然である。


 全てを吐き出した事で安心したのか。涙ながらに訴えていたエリスは、いつの間にか椅子に座ったまま寝てしまった。

 俺は、そんな彼女を抱き上げ床に就かせる。泥と涙にまみれたその顔は、お世辞にも可愛らしいとは言えなかった。


 帝都に戻り役人に保護を求めるとしても、こんな状態で連れていくのはあまりにも可哀想だ。

 そう考えた俺は、エリスと話をしている最中に宿の主人が持ってきてくれた桶の湯で、彼女の顔をふいてやる。

 逃げる途中や、悪党どもに捕まっている間、小便なども垂れ流しておったのだろう。酷い臭いを漂わせていたので、俺は脚だけでもと思い着衣の裾を捲り上げた。


「拙者、けっしてその様な趣味はござらぬ」


 誰かに見られているわけでもないのに、俺は思わずそう言ちてしまう。

 勝手に女児だと思い込んでいたが、やはりそうだったという事実を不覚にも確認してしまったのだ。


 それにしても、この世界には風呂に入るという文化はないのであろうか。

 皇帝に謁見する前日、教会の宿泊施設に泊まった際にも浴場などある様子もなかった。


 さすがに泥水になってしまった湯で体を拭きたくはなかったため、俺は代わりの湯をもらえないか主人に掛け合いにいく。

 あまり良い顔はされなかったが。何とか代わりの湯を入れてもらった俺は、部屋に戻り体を拭いてから床に就いた。



 早くに目が覚めてしまった俺は、綺麗になったエリスの寝顔を確認すると、朝の空気を吸うため表に散歩に出かける事にした。

 朝の仕込みをしていた宿の主人に断りを入れ、ついでに二人分の朝食の準備を頼む。

 食堂には、飲み過ぎてそのまま寝てしまった冒険者がまだ寝ていたが。主人は、いつもの事だといった感じでお構い無しの様子である。


 四半刻ほど散歩をして戻ると、宿の主人に食事の準備がもうすぐ整うと告げられる。

 それを聞いた俺は、エリスを起こしに行くため急ぎ部屋へと向かった。


 部屋に入ってすぐ目に入った光景に、俺は一瞬だけ茫然とする。

 まだ寝ていると思っていたエリスが、毛布にくるまった状態で部屋の隅っこにしゃがみこんでいたのだ。


 ただならぬ様子に、俺はゆっくりと彼女に近づいていく。


「エリスよ。そんな所に縮こまって、一体どうしたというのだ?」

「シンジュウロウ……何処に行ってたの?」


 エリスは、俺の問いに答える事もせずにそう言うと、勢いよく懐に向かって飛び込んできた。


「置いてかれたと思ったよー」


 懐の中でそう叫んだ彼女は、少し泣いているようだった。


「心配するな。保護した責任もある故、それを果たすまで置いていくなどするものか。宿の主人に朝飯を頼んであるので、今から一緒に食いにいこう」


 頭を優しく撫でてやりなからそう言うと、ようやく彼女は少し離れ俺の顔をじっと見ながら頷く。


「体、拭いてくれてありがとう……」


 俺を見つめながらそう言ったエリスの顔は、何故か少し赤く染まっていた。

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