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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
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76.アイシャとの決闘①



 族長ガルフが住む家の裏手は、大樹海にそのまま直結していた。

 結界が張られている場所には、簡易的な防御陣地が築かれているが。魔物の侵入だけを想定しているため、それほど強固なものではない。結界は魔物に対して強力な効果を発揮するものであり、そもそも防御陣地を設置する必要はそれ程ないのだ。

 街の入り口側が強固な造りになっている理由は、魔女の森から侵入した人間の軍を想定しての事らしい。

 アイシャとの試合をおこなう場所は、そんな族長の住む家の裏手にある森の中だ。

 街中にも、戦士たちが利用する訓練場はあるのだが。決闘や試合をおこなう場合は族長の立ち会いのもとで、裏手にある森を利用する事が慣例となっているようである。


 多くの者がこの試合を観戦できるよう、すぐに街の住民に向け伝令が走らされる。今回のような場合は一応、住民たちにも証人になってもらう必要があるようだ。

 族長が独断で判定を下さない辺り、部族の雰囲気に反してわりと民主的な体制を敷いているといえるだろう。


 試合をおこなう場所は巨木に囲まれてはいたが、そこは日の光が当たる程かなり開けた感じになっている所だった。

 これならある程度の力を出したとしても、それほど問題はなさそうだ。


 続々と住民たちが集まり始めるなか、どういう風の吹きまわしかアイシャが俺のもとにやってきて声をかけてくる。


「お前の得物は、ブレイドにゃか? あたいはこの爪が武器にゃけど、自分の方が有利だとか考えずに最初から全力でかかってくると良いにゃ。どうせお前に、あたいの攻撃を躱す事なんてできないにゃからね」


 何かの魔獣から流用した物だろうか。明らかに金属製のものではない爪のついたグローブを嵌めたアイシャは、それを見せつけながら俺を挑発した。

 次の族長候補と言われる彼女の実力がどんなもんか、今から矛を交えるのが楽しみである。


「て言うか、試合だってのに真剣でやり合うのか? 下手したら大怪我をするか、死ぬ事だってあり得るぞ?」

「その心配は無用にゃ! もしそんな事になったとしても、死ぬのはお前の方にゃからね」


 アイシャは、不敵な笑みを浮かべながらそう言い捨てると、さっさと自分の陣営に戻っていく。

 相変わらずそこまで強い力は感じなかったが、あの様子だと相当な自信があるようだ。

 そんな彼女の自信が何処からくるものなのか、ある程度の予想をしていた俺はミコトに対し一つ質問してみる事にした。


「なあミコト。女神の加護っていうのは、戦闘中にだけかかるバフなのか?」

「そうみたいだね。だから今感じている彼女の能力を鵜呑みにすると、少し痛い目を見るかもしれないよ」


 加護による能力上昇が、どの程度のものなのかはわからないが。痛い目を見ると言っているわりに、ミコトの表情は楽観的な様子であった。

 まぁ、その言い方からして、彼女も俺が負けるとは微塵も思っていないのだろう。



 しばらく三人で雑談をしながら待っていると、街の住民たちが集団でやってくる。その様子を見たガルフは、広場の中央に進み出て言葉を発した。


「そろそろ時間のようだな。観戦できる者たちは全て集まったようだし、すぐに試合を開始する事といたす」


 合図を受けたアイシャは、無言で族長のもとへ進み出る。空気を察した俺は、ミコトとアムに「行ってくる」と声をかけ、同じように広場の中央へと向かった。


「真剣で勝負すると聞いたが、本当に模擬的な武器を使わなくて良いのか?」


 中央まで進んだ俺は、審判を兼任すると思われる族長に対し一応そう確認してみる。アイシャが、勝手に言っているだけのような気もしたからだ。

 しかし、族長の答えは彼女の言っていた事を肯定するものだった。


「所持する武器も含めて、その者の実力を測らなければならないのでな。危険だと思ったら止めるので、問題はない」


 武器も含めてという話なら、左腕を使用しても反則ではないという事だ。まぁ、もとから必要とあらば使うつもりではいたが。

 とはいえ後でミコトたちに、さすがにあれはオーバーキルだったんじゃないか、と言われないようせいぜい気をつけるとするか。


「これから遺跡の挑戦権を懸けた、試練としての決闘を執り行う。お互い正々堂々と全力を出しきって、民の前で存分に実力を示せ! それでは試合開始!」


 族長の掛け声と共に、アイシャは全く躊躇することなくいきなり動き出す。

 早い。そんな彼女の突進するスピードは、俺の想像を遥かに超えるものだった。

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