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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
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52.川口の暴走



 それから数日が経ち。各パーティーは順調に森の攻略を進めていき、クラスメイト達も大きくレベルを上昇させていた。

 今では、ひと形の魔物であっても殺害に躊躇する者などなく、みな歴戦の勇者然とした雰囲気を漂わせるようになっていた。

 そうなってくると、ランクによる能力の差もより顕著なものとなっていく。

 レベリングの状況はそれほど変わらないのだが、三つのパーティーの実力差は明らかに広がりをみせ始めていた。


 余裕で体長3メートルはあるオーガを倒した川口は、華麗な剣さばきを見せたにも拘わらずとても不機嫌そうだ。

 その表情からは、明らかに焦っている様子が窺い知れた。


「ちっ、こんな弱い敵ばかり倒しても、最近じゃ全然レベルも上がりやしねー」

「そんなに焦る必要はないよ、川口くん。君だけなら、天近くん達にも匹敵するくらいステータスを上げてきているじゃないか」


 僕の言葉に対して余計に機嫌を損ねたのか、川口の奴はこちらをキッと睨み付け言う。


「約一名のお陰で、パーティーとしての平均能力値は三組の中で最弱だけどな。こんな事になるなら、清川の言っていたとおりにすれば良かったぜ」


 約一名とは僕の事を言っているのだろうが、全くどの口が言うって感じだ。自分から積極的に誘っておいて、いくらなんでも流石にそれはないだろう。

 僕がこのパーティーに居なければ、とっくの昔に全滅していてもおかしくはない。

 気づかれないだけで、僕は何度もパーティーの危機を救ってきているのだ。

 毒などの状態異常耐性が全くない川口に対しても、熱心に勉強して得た知識でそれとなく何度も助言をしている。

 幻覚作用のある胞子を出す種類のお化けキノコの時だって、僕がいなければバーサーカー状態になった川口と同士討ちになっていたところだ。

 他のメンバーまで幻覚を食らってしまえば、上手く取り押さえて一件落着、という事にすらならなかった。


「いくらなんでも、それは酷すぎるんじゃない? 川口くん! 涼風くんの事を誘ったのは、あなた自身でしょ? それに、彼がこのパーティーに居なかったら、きっとわたし達ここまで来れなかったと思う……あなただって最初にそう感じたからこそ、彼をメンバーに誘ったんじゃないの?」


 さすがに堪り兼ねたのだろう。日高さんが、川口に対してそう捲し立てる。

 それにしても驚いた。普段おとなしい彼女が、まさかそこまで言ってくれるなんて。しかも、イキり野郎の川口に向かってだ。

 まぁ、そこは逆にそっとしておいて欲しいところだったが。彼女が名指しで指摘した事によって、川口の嫌味が却って直接的に僕を指すものになってしまったわけだ。


「ちっ、別に涼風一人を責めているわけじゃねーし。それよりお前の方こそ、名指しで言ってねーのにそう感じたって事は、普段からコイツの事を足手まといだって思ってる証拠じゃねーんかよ」

「そんな事ないよ! さっきも言ったでしょ? わたしは、涼風くんの存在をすごく頼もしく思ってるの!」


 日高さんのすごい剣幕に一瞬たじろぐ川口だったが、思っていたとおり余計に僕の話が強調される形になってしまった。

 その事に対して、更に食ってかかる日高さんだが。彼女の言葉の内容に、川口の奴は余計に怒りを増してしまったようだ。


「あー、わかった。そんなに言うんなら、この場でこのパーティーは解散だ! 一人で戦った方が、早くレベルも上がるしな! お前らはその無能をリーダーにして、仲良しごっこでもしてりゃーいーだろ!」


 突然そうブチギレだした川口は、一人で森の奥へとどんどん進んでいってしまう。


「おい! 待てよ興起!」


 戸田は、奴の名を叫びすぐにその後を追っていった。

 当然、残された僕たち三人も二人の後を追っていく。

 ところが、戸田の事はすぐに見つけたものの、ステータスの高い川口は既にかなり先に行ってしまっていたようだ。


 まさか、こんなに早く奴を見失ってしまうなんて流石に思わなかった。更に最悪なことに、僕は見てはいけない物を見てしまう。


「戸田くん、これって今やったやつなの?」

「あ? だったら何だってんだよ」


 僕の問いに対し邪険な態度を取る戸田。しかし、そんな事は構わず、僕は奴を含めた三人に対して言う。


「三人とも、すぐにベースキャンプに向かって走って逃げるんだ! 川口くんは僕一人で探しにいく!」


 目の前に転がっていたのは、胴体を真っ二つにされた体長1メートル程の殺人蜂だった。まだ完全には死んでおらず、不気味な羽音を周囲に響かせている。


 以前に僕がその行動について説明していた事もあり、それを見た三人の顔からは一気に血の気が引いていく。

 しかし、一応ちゃんと話を聞いてくれていた三人とは違い、川口の奴だけはその時も僕の話しに全く聞く耳を持ってはくれなかった。

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