5.無能の烙印
クラスメイトたちが、次々と能力測定をおこなっていくなか。その結果を受け、歓喜している者もあれば落胆している者もあった。
それでも今のところ、一番低い能力値の者でも40を下回る者はいない。
川口興起の測定が終わったところで、宮廷魔術師の老人が再び感嘆の声をあげる。
「おおっ! これまた凄い! 使徒ランクこそAではあるが、基本能力値だけなら天近様を超えておる!」
魔術師の声に反応して、クラスメイトたちが一斉に川口のステータス表示を覗き込みにいく。
一応、気になった僕も、後ろの方から彼の能力を確認した。
そんな川口の能力値は次のとおりである。
名前 川口 興記 年齢 17歳
天職 狂戦士
使徒ランクA
天啓レベル1
腕力 146
耐久 128
敏捷 145
体力 143
生命値 16/16
光力 100
光力操作 20
アクティブスキル
剛力レベル1 憤怒レベル1
パッシブスキル
光力変換120%
川口の能力値を見るかぎり、基本能力の数値が必ずしも使徒ランクとやらに影響するわけではなさそうだ。
何となくだが、スキルの種類や数などがランクに影響するようにも思える。
天近との違いからみるに、光力変換のパーセンテージが、基本能力に補正値として付与されているのかもしれない。
僕以外の全員が能力の測定を終え、ここまでの結果はSSランク一名、Sランク二名、Aランク三名であった。
残りの九名もCかBランクであり、ここまででD以下というのは誰一人として存在していない。
いよいよ最後に僕一人を残し、クラス中の注目が集まる。と思いきや、僕に注目しているのはCランクだった連中くらいなものだった。
Bランク以上だった者たちは、僕の事なんてどうでも良いといわんばかりに勝手に盛り上がっている。
どうして僕が、最後を選択したのかって? そりゃ、主役は遅れて登場するもんでしょ。
天近みたいに初っぱなからSSランクかましたら、面白味の欠片もない。
普段あまり目立たない奴だってAランクになった者もいたくらいだし、クラスでのヒエラルキーが能力値に関係しているわけじゃない事だけは確かだ。
まぁ、結果はわかっているけど。
僕は、多少の緊張感を持ちながら、恐る恐る水晶の前に立った。
宮廷魔術師の老人が呪文を唱えると、台座に置かれた水晶は微かな光を放つ。明らかに今までにない、弱い光だ。
光が収まると、水晶の前には武具ではなく革製の腰掛け鞄が置かれていた。
嫌な予感を覚えつつも、慣例に従って「ステータスオープン」と言ってみる。
そんな僕のステータスは、こんな感じだった。
名前 涼風 翔 年齢 17歳
天職 旅人
使徒ランクE
天啓レベル1
腕力 18
敏捷 23
耐久 8
体力 16
生命値 24/24
光力 0
光力操作 0
アクティブスキル
空気レベル1
パッシブスキル
なし
ユニークスキル
思い出すレベル1
超越者である俺が、こんなショボい能力値になるはずがない! こんなのは不当だ! やり直しを要求する!
あまりのショックに固まっていた僕に対し、宮廷魔術師の老人は口元をひきつらせながら言う。
「まぁ、ここまで豊作だっただけに、一人くらいは最低ランクがいても仕方がないじゃろう。ユニークスキルが有るのも珍しい事じゃし、これもきっと何か意味のある天からの思し召しなのかもしれんな」
魔術師の発言を受け、僕のステータス表示を覗き込んでいた連中から僅かに笑いが溢れる。
その様子に気づいた川口がこちらにやってきて、僕が表示をクローズする前にそれを見て大笑いしだした。
「涼風お前! なんだよそのショボすぎる能力値はよ~。しかも天職が旅人って、マジ受けるわ~」
自分が良い数値だった事で、余計に気が大きくなっているのだろう。普段あまり絡みがないため、僕に対しそこまで失礼な事を言う奴じゃなかったが。川口の奴は、ここぞとばかりに大きな声で、僕のステータス内容を貶してみせた。
川口が発した言葉をきっかけに、それまで笑いを堪えていた連中も爆笑し始める。
僕は完全に、クラスの晒し者となってしまった。
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