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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
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47.受付嬢マリア



 二階には数人の若い男女が大人しく椅子に腰掛け、名を呼ばれるのを待っている様子が窺えた。

 皆、これから先の不安や希望を胸に抱いたような表情である。

 経験者としての記憶は全くないけれど、なんだか僕までその様子を見てとても初々しく感じてしまう。

 一階とは打って変わり、身なりの良い依頼者と柄の悪い連中が入り交じる、カオスな状況とは全く様子が異なっていた。


「わたしたちも、最初の頃はこんな感じだったわよね?」

「その口ぶりからすると、二人同時に冒険者登録をしにきたってこと?」

「そうじゃないんだけど。あなたも、私たちが出会う直前に冒険者登録したばかりだたったらしいわ」


 そう言って感傷に浸る様子のエリスに対し、僕は改めて申し訳ない気持ちとなる。彼女は、ゆっくりでいいと言ってくれてはいたが。大切な思い出を共有できていないというのは、やはり何か心にくるものがあるだろう。

 恋人や配偶者が記憶喪失になったとき、お互いに相手に対する思いをこんな感じで抱いているのだろうか。

 まぁ、僕の場合は徐々に記憶を取り戻していく保証があるので、彼女にしてみてもそういった不安は少ないのかもしれないが。

 そんな感じで思い出に浸る様子のエリスだったが、僕たちの背後から再び声をかける者が現れる。


「エリス様? ですよね? 今日はどういったご用件でいらしたのでしょうか? そんな可愛らしい格好をして護衛の方も一人しか連れていないなんて、ずいぶんと珍しい事ですね?」


 変装しているにも拘わらず、正体を見破ったのは受付嬢の一人だった。


「マリアには変装してても、すぐに見破られてしまったようだな」


 マリアと呼ばれた受付嬢は、エリスに負けず劣らずな豊満ボディをしている。少しポッチャリ目ではあるが、胸の大きさだけならエリス以上のものを持っていた。


 けっして嫌らしい目で見ているわけではない。しかし、溢れんばかりの谷間を見せつけられたら、若い男子としては自然と目がそこにいってしまうものだ。

 この大陸におけるギルドの女性職員は、みな同じような格好をしているのだろうか。大きく肩の開いた制服は、十分すぎるほど魅惑的なものであった。


「いてて……」


 僕の脇腹をつねりながら、ジト目を向けてくるエリス。そんな様子を見たマリアは、僕たちの関係が上司と部下ではない事をすぐに悟ったようだ。


「失礼しましたエリス様。そちらの方は、護衛ではなかったようですね。ひょっとして、恋人だったりするんですか?」


 目を輝かせながら、エリスに対してそう問うマリア。女性としては、やはりそういった話が好きなのだろうか。

 しかし、ここでそれを認めてしまっては、一気に噂が国中に広まってしまいかねない。

 ところがエリスは、簡単にその事を認めてしまった。


「絶対にこの事は、他言無用でお願いできるか? わたしに求婚してくる連中が、また騒ぎを起こしかねないのでな」

「この間の件は、本当に凄かったですよね。公爵の息子と婚約したっていう噂が広まって、あの時は皇帝まで巻き込んで偉い騒ぎになりました。それにしても、絶対に男と付き合わない事で有名なエリス様が恋人を連れているなんて、一体どうしちゃったって言うんです?」


 興味津々といった感じで、そう訊ねてくるマリア。

 エリスは、少し迷惑そうな表情をしながら答えに窮している感じだ。

 そんな彼女の様子にも構うことなく、マリアは更に恋バナに花を咲かせようとして話を続ける。


「ひょっとして、前に言っていた話って本当の事だったんですか? 男を作らない理由は、三百年前に生き別れたカレが迎えにくるのを待っているからだって話」


 本当にベラベラとよく喋る受付嬢だ。しかし、悪意は全く感じられないので、エリスもしつこく訊いてくる彼女に根負けしてその話をしてしまったのだろう。


「わかった……わかったから、もう勘弁してくれ! その話は、また後でゆっくりするから」

「うふふ。その感じだと、どうやら当たりみたいですね? じゃあ、その件については後でゆっくりとお聞きしますんで。絶対に忘れたとか言わせませんからね。約束ですよ!」

「ああ、わかった。後で必ず話すって約束する……カケル、もう特に登録についての説明とかはしなくても良いわよね?」


 余程パニックになっているのだろう。僕の名前までマリアに知らせてしまうとは、かなりの失態だ。

 そんなエリスは、僕の手を強く引いて挨拶も交わさずにこの場を立ち去ろうとする。

 僕は、受付嬢のマリアに対して軽く会釈をすると、耳まで真っ赤に染め上げた彼女に手を引かれながら登録所を後にした。

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