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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
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44.帝都エルゼキシアのギルド本部



 繁華街も外れの方になると、少し怪しげな雰囲気の店が多くなってきているように感じられた。

 この辺りには酒場なども沢山あるようで、中には真っ昼間から営業している店も何軒か見受けられた。

 ギルド本部が近くにあるだけの事はあり、街を歩く人間も何処となくそれっぽい感じの者が多い印象だ。


 ちょっと前にエリスが言っていたとおり、柄の悪そうな連中がこちらをジロジロと見ているような気がする。

 この辺りの有力者か何かなのだろうか。中には身なりの良い金持ち風の一行も歩いていたが、やはりそういった人間は数人の護衛をつけているようだった。

 そもそもギルドに用があっていく金持ちなら、馬車で直接向かうに違いない。そう考えると僕たちは完全に、この街で浮いた存在となっている感じだった。


 確かにこの雰囲気なら、無防備な金持ちが絡まれるような事があっても全く不思議ではないだろう。それに加え、サングラスと帽子で顔を隠していても、エリスから放たれる極上のいい女オーラは隠せない。ましてや、一緒に歩く人間が見るからに弱そうな男なのだから余計だ。


「絶対に目を合わせてはダメよ。前だけ見て、堂々と歩いてね」


 小声でそう僕にアドバイスするエリス。さっきからチラチラと周囲を観察してしまっていたが、それもあまり宜しくない事だったのだろうか。

 確かに少し前までの僕だったら、自然と彼女の言うようにしていたに違いない。変な奴に絡まれないようにするには、平然としているのが最も有効な手段だ。

 しかし、明らかに強くなったという自覚が芽生えた今の僕は、そういった意識が少し希薄になっていたのかもしれない。


 最初から絡まれる事を前提にして行動しては駄目だ。勝てるかどうかは別として、彼女に迷惑がかかってしまうかもしれないじゃないか。

 そう考え直し、僕はエリスに手を引かれながら真っ直ぐ前を向いて歩く。


 あれ? でも手だけは、絶対に離さないんだね。ラブラブしているところを見せつけるのも、こんな場所では十分すぎるほど危険な行為だと思うけど。


 そんな心配は稀有に終わり、僕たちは無事にギルド本部のある建物までたどり着く。

 想像していた以上に立派な佇まいに、僕は一瞬で目を奪われた。

 よく物語の中で見られるような、酒場を併設した建物とは偉い違いである。周辺の街並みと比較したら、かなり違和感のある感じだ。


 広い敷地の中に立つ五階建ての建物前には、既に御者のハリスが馬車を降りて待機していた。

 エリスは、彼に対し30分くらいで戻ると伝えた後、僕に「行きましょ、カケル」と声をかけ建物の方へと向かって歩き出す。さすがに他にも主人を待つ御者の目があるため、手を繋ぐ事は控えたようだ。

 一般人ならともかく、貴族や街の有力者、それに近しい者なら彼女がエリスだと見破る人間もあるかもしれない。

 僕ですらそう思えるのだから、彼女も一応その辺は気にしたという事なのだろう。


 正面玄関を入ると、一階からいきなり十ヶ所以上の窓口が並んでいた。

 階段わきにある壁には、しっかりと各階の案内板が貼られている。

 それをみる限り、一階部分は依頼の受付と完了報告。二階部分は、冒険者登録をおこなう場所となっているようだ。


「特別な依頼が有るときは、四階にある本部事務所に直接いく事もあるわ。ギルドマスターに会って、直接お願いするためにね」

「特別な依頼って、例えばどんなものが有るのかな?」


 僕の質問に対し、エリスはロビーでたむろしている一団に顔だけ向けて言う。


「ほら、あそこに居る連中なんかまさにそうよ。アイツらは魔道列車の警備隊に所属する冒険者たちね。鉄道の修復作業をする際の、作業員たちの護衛に当たっているわ」


 なるほど。国の大事に関わるような案件が、特別な依頼という話になるわけか。こなれた感じであるところを見ると、エリスもそういった依頼をしにいくことを何度か経験しているのかもしれない。

 となると、彼女が国の英雄だと気づく冒険者もいる可能性は無いとも言えない。そう考えると、やはりここでの長居は無用だ。


 そんな僕の心配をよそに、エリスは掲示板の方に向かって歩き出す。

 掲示板の前に立つと、彼女はしばらくその前で感慨深げにそれを眺めていた。


「お嬢ちゃんたち。さっきからまごついているようだけど、ギルドに依頼しにくるのは初めてなのか? まさかその格好で、冒険者って事はないよな?」


 ニヤニヤしながらそういきなり声をかけてきたのは、いかにも冒険者です、といった感じの筋肉ムキムキな中年の男だった。

 これはまさしく嫌な予感しかしない。明らかに、その男の目付きはイヤらしいものでしかなかった。


 ここは僕が、毅然とした態度を示さなければならない。そう腹を括ったときだった。男の手が、エリスの肩に触れる。


「おい、お前! 俺の女に気安く触ってんじゃねー!」


 不思議だ。その瞬間に僕は、自分でも信じられないくらい自然とそう叫んでいた。

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