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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
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18.司書の女①



 エリスが言うには、このあと図書室に向かい魔法についての説明がしたいという話だった。

 図書室に向かうと聞いて、オリエンテーションの際に紹介された司書の女の事を思い出す。

 確かドレミという名だったと思うが、異世界とはいえ随分と変わった名の女だ。

 彼女は、エリスに比べれば多少見劣りするものの、かなりの美人でもあった。

 ミステリアスな雰囲気は、男子なら誰であっても興味を抱いて当然といえるほど美しい女性である。


 図書室に着くと、エリスは僕に対し席に着いて待っているよう言い、一人で目的の本を探しに行ってしまう。

 待っている間、僕は必然的にその丸眼鏡をかけた清楚な美女の姿を探していた。

 水色の珍しい髪色なのですぐに見つかるだろうと思いきや、図書室があまりにも広すぎて彼女の気配すら感じる事ができなかった。


『この浮気者! エリスちゃんという素敵な子がありながら、別の女の事を考えてるなんて。これだから男ってほんと嫌ね!』

『いや、違うんだアム! 別にいやらしい気持ちとかじゃなくて……ただ何となくだけど。あのドレミって女の事が、どうにも気になって仕方がないんだよな』


 どう表現して良いのかわからずに、僕はアムに対してそう曖昧な言い方をする事しかできなかった。

 自分自身はっきりとした気持ちはわからないが、兎に角すけべ心が働いて彼女の事が気になっているわけではないのだ。


『エリスちゃんみたいな美女にも好かれたくらいだし。どうせドレミって司書の娘ともワンチャンあるかも、なんて思ってるんでしょ』


 あー、非常にめんどくさい。心が読めているのなら、この釈然としない今の気持ちも読み取ってもらいたいもんだ。それとも本当はわかっていながら、僕の事をからかって面白がっているだけなのだろうか。

 そう心の中で思ってみても、都合が悪い事は反応しないつもりなのか。アムは、僕の叫びに答える事はしなかった。


 なかなか戻ってこないエリスを待つ間、退屈していた僕に対し思わぬ人物から声がかかる。


「あれ? 涼風くんだよね? こんな所で何してるの?」


 突然、横から覗き込むようにしてかけられた声の主は、クラスメイトの日高(ヒダカ)美乃里(ミノリ)という女子であった。

 赤毛に天然パーマ。そばかすだらけの容姿は、本人もコンプレックスに感じているのだろう。普段は大人しくしている事が多く、クラスではあまり目立たない子だった。

 そんな子が、自分の方から声をかけてくるなんて珍しい。

 まぁ、こんな状況だ。召喚者同士の協力が不可欠である以上、恥ずかしがってなんかいられないか。


「エリス教官に連れられて、魔法の勉強をしにね。そっちこそ夕方まで戦闘訓練じゃなかったの?」

「わたしは魔術師だからね。戦闘能力も低いし。今日は相方と一緒に魔法の勉強をする予定よ」


 日高さんの相方って、確か本庄さんだったよな。

 本庄(ホンジョウ)愛理(アイリ)は少しギャルっぽく、どちらかといえばクラスでは目立つ方の女子である。結界士の天職を与えられていたが、日高さんと同様に戦闘能力が低めであったため、彼女とはコンビを組む事になっていた。


「日高さんの相方は確か、本庄さんだったよね? それで、彼女とは一緒に来ていないの?」

「うん、今トイレに行ってるだけだから、すぐに来ると思うよ」


 日高さんがそう言っている間に、話題の相手が図書室内に姿を現す。

 戦闘訓練を受けているためか、彼女は普段アッシュにしているロングヘアーを一つに束ねていた。


「おう! 騎士団長を倒した英雄くんじゃないか! 戦闘訓練をサボって、こんな所でなにやってんだ?」

「日高さんには説明したんだけどね。僕も魔法の勉強をしに、ここに来たんだ」


 そう説明をしている間に、二人はごく自然な感じで僕の向かい側の席に着いた。普段、女子と顔を付き合わせて話をする事なんて殆んどないので、この状況はなんだかとても居心地が悪い。

 この三人で一緒にいても会話が続かないと自覚していたので、できれば放っておいて欲しかったが。そんな僕の気持ちなどお構いなしに、本庄さんはしきりに話しかけてきた。


 彼女は彼女で気を遣っているのだろう。こんな状況にでもならなければ、いつもどおり僕の事なんて無視していたに違いない。しかし、おそらく皆この世界で生き残ろうと必死なのだ。

 生き残るためには仲間内での協力は不可欠。本庄さんは、消極的な相方に代わって、僕との親交を深めようと必死に努めている様子だった。


 気まずい雰囲気のなか、本庄さんの質問責めが続いていたが。話の途中で急に、彼女の表情は一瞬にして凍りつく。隣に座っている日高さんも同様に、表情を強ばらせていた。

 後ろから感じる強烈な殺気に背筋が凍る。

 僕は、あまりの恐ろしさに振り返る事ができなかった。

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