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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
3─2

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133.ランクアップ②



「そちらの方は、メンバーではないのですか?」


 登録証を出さないヴィラに対し、受付嬢は怪訝な顔でそう訊ねてきた。

 どう説明しようかと少し悩む俺だったが、その必要もなく彼女みずから自分の立場について説明を始める。


「縁あって一緒に行動はしておりますが、わたくしはシンジュウロウ様たちとは別のパーティーに所属しておりますの。依頼に関して、わたくしは一切タッチしておりませんので、どうかわたくしの事はお気になさらずに」


 依頼をこなしていないという事に関しては、ミコトとアムも同じだが。本当のところを言うと、紅き月の狼のヴィラドリアだと知られたくないだけなのだろう。


 ヴィラの説明を受け、受付嬢もすぐに納得してくれたようだ。

 しばらく時間がかかるという話だったので、俺たちは登録証を預けたあと酒場の空いている席に移った。


「ちょっと気になったんだが。ヴィラは、親父さんと一緒に指名依頼をこなしたりはしているのか?」


 Sランク冒険者にかかるような指名依頼など、そうそう無いとは思いつつも、少し気になった俺はそうヴィラに対し訊ねてみた。


「そのような依頼自体、滅多にはございませんが、状況が許すようでしたら受託する事もございます。今はあまり目立ちたくないので、もし連絡がきたとしてもお受けする事はございませんが……」

「やはり、例の奴が復活しているときは活動を控えたり、場合によっては姿をくらませてるってことか」

「そのとおりですわ。ただし、今回に関しては以前にご説明申し上げたとおりでございますが」


 そう言って、俺に対し期待の眼差しを向けるヴィラ。

 彼女の言いたい事はわかるが、それにしても不思議でならない。

 アフカルに存在を知られたくないのであれば、今の状況は身を隠さなければならない時期であるはず。しかし、依頼こそ受けないと断言しているとはいえ、目的を達成するために積極的な行動を取っていたようにさえ思える。それとエリスは兎も角として、どうして俺を見込んだのかについても謎だ。


 あまり詮索しても仕方がないので、俺は「まぁ、すぐにとはいかないが、俺たちに任せておけ」とだけ言って話を他に移す。

 次の目的地が近い事を話題に上げたところ、ずっと黙りを決め込んでいたミコトは急に饒舌となった。


「今世においては初めてのダンジョンだから、少し緊張するな」

「お侍さんだったときの、ダンジョン攻略の記憶はないのかい?」

「有るには有るが、そんな深いダンジョンに潜ったっていう記憶はないな」

「ふーん。Sランク冒険者だったなら、誰も到達していないような階層まで攻略していても不思議じゃないと思うけどね。単に、まだ思い出せていないだけじゃないのかな? ベラドーナのダンジョンは、深層部までいくと樹海並みにヤバい魔物が出るから少しは楽しめると思うよ」


 確かに外界に出てからは、弱い魔物ばかりを相手にしていたので拍子抜けしていたところだ。緊張するとは言ったが、本音をいうとベラドーナのダンジョンを攻略するのが楽しみで仕方がない。


 数分の間ダンジョンの事で雑談をしていると、ようやく手続き終了の声がかかる。

 ミコトは、まだ話足りなそうだったが。俺はさっさとここを出ようと思い、登録証を受け取りにいくため皆に席を立つよう促す。

 窓口に行くと、カウンターには四枚の銀色に輝くプレートが置かれていた。


「登録証は、ランクによって色が変わるのか?」

「はい、EとDが青銅色。CとBが銀。Aが金で、Sが黒色となっておりますね」


 受付嬢からそう説明を受け、俺はヴィラの方に目を向ける。

 言いたい事がわかったのか、彼女は「ここではちょっとお見せする事はできません」と慌てた様子ですぐに拒否する姿勢をみせた。

 ここで見せてくれと言うつもりもなかったが、気になることは確かなので宿に帰ったら見せてもらう事にしよう。


 望まぬランクアップを果たした俺たちは、ギルドの建物を出るなりそのまま宿へと向かう。ずっと移動主体の旅だったが、一泊だけの夜はこの町で最後だ。

 ここからベラドーナまでは、馬で半日ほどの道のりである。早朝に町を出れば、昼過ぎには到着できているのではないだろうか。


 旅の目的に近づく第一歩となるダンジョン攻略を前に、俺の心は自然と晴れやかになる。今宵は、眠れぬ夜となってしまいそうな予感がした。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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