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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
3─2

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131.守りたいという気持ち



「その名を名乗る事に、いろいろと問題があるというのは分かる。だが、俺の方としてもそれなりの理由があるんだ」


 何か言おうとしていた支部長だったが、先手を打った俺の言葉に少しだけ興味を示してくれたようだ。

 彼は、溜め息をつくと「確かに、あまりお勧めできる事ではないが。一応、その理由とやらを聞いておこうか?」と言って話を聞く姿勢をみせる。

 半分以上は口から出任せという事にはなるが、エリスを保護したいという気持ちについては嘘じゃない。

 多少の罪悪感を持ちつつも、俺は支部長に対して咄嗟に思いついた事を話し始めた。


「シンジュウロウという名は、俺の一族に代々受け継がれている名なんだ。俺は、既に当主の座に就いているから、今の代で二十一代目という事になる。因みに、Sランク冒険者として有名なシンジュウロウは三代目の当主だ」

「彼の事については謎が多い人物と言えるから、確かにそんな話があっても全く不思議ではないな」


 こんな出任せ話に、妙に納得した様子でそう言う支部長。俺は、一気に畳み掛けようと言葉を続ける。


「古代魔法を扱う俺の一族について、世間ではあまり知られていないがな。エリスと親交があるのも、その事が理由だ」


 そこまで聞いて、支部長は少し困ったといった感じで腕組みしながら頷く。まだ、完全に納得はしていない様子だが、あともう一息といったところだ。


「そもそも、その名を名乗る権利があるのだから、冒険者としての登録名もそれに変えたいと言いたいわけか?」

「いや、そんな理由なら最初からそうしてるさ。シンジュウロウを名乗って冒険者として活躍すれば、エリスの方から接触してくるかもしれないだろ?」


 エリスを理由にしたことで気持ちが動いたのか、支部長は目を閉じて唸りだす。

 それにしても流石は俺の仲間達だ。さっきからこんな大嘘ばなしを聞いても、顔色一つ変えずに黙って聞いている。事情を知らないはずのヴィラも空気を読んでくれているのか、全く口を出すこともなく何食わぬ顔で澄ましているだけだ。


 しばらく考え込んでいる様子だった支部長は、溜め息をついた後ようやく口を開く。


「一つだけ確認しても良いか? 君は、エリス様を探しだして一体どうするつもりなんだ」

「そんなの決まってるだろ。俺は、彼女を守りたいだけだ」


 俺の答えを聞いた支部長は、眉間にシワを寄せ悩むような仕草をみせる。しばらくして、ふぅっと溜め息をつくと、やれやれといった感じで口を開いた。


「いいだろう。シンジュウロウの名を使うこと自体、厳格に禁止されているというわけでもないからな。ただし、その名を名乗る事で、今後さまざまなトラブルに巻き込まれるだろう。そうなるという覚悟だけは、ちゃんとしておいてもらいたい」


 彼女を守りたい。その一言が決め手となったのか。ついに支部長は、シンジュウロウの名に変更する事を許可する。

 俺は「それくらいはちゃんと覚悟していたさ。ご理解いただいて感謝する」と言ってすぐに席を立った。



 ロビーに戻る頃には多くの冒険者たちが集まってきており、かなりの騒ぎになっているようだった。

 彼らが話す内容を聞く限り、既に謎の魔物が討伐されたという事が噂となっているようだ。

 正式な発表がなされたわけではないと思うが、スラム街の破壊の件は公になっており、それが理由で討伐の可能性と結びつけられている感じではなかろうか。


「これを着けておきなよ」


 そう言って、まるで道化師でもあるかのようなヘンテコな仮面を差し出すミコト。


「眼帯くらいじゃ素顔を隠せないよね? せっかく登録名の変更をしても、素顔が広く世間に認識されるのは不味いんじゃないかな?」


 ミコトの言うことは尤もである。俺の顔や事情を知っている者は、クラスメイトに限らずそれなりに存在する。

 シンジュウロウについて嘘を広めるような事を言ってしまったのだから、俺がカケルだとバレるのは確かにまずい。


 俺は、手続きを済ませる前に差し出された仮面を着けてから窓口に向かう。

 応対してくれたのは先程のマリーだったが、ヘンテコな仮面を見て「そんな仮面を着けたりなんかして、一体どうされたんですか?」と苦笑いされた。

 適当に「これからシンジュウロウを名乗るのに、若いからと言って舐められたくないからな」と誤魔化すと、マリーは取りあえずそれで納得してくれたようだ。


 登録名の変更と報酬の受け取りを済ませ、俺は新たに冒険者シンジュウロウとして再スタートを切る。

 支部長のユージンには、あんな風に言われたが。今の俺にとってどんなトラブルも、さほど心配するような事柄にはなり得ないものだと感じていた。

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