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厨二で何が悪い! ~前世の記憶が最強すぎて他の召喚者たちがまるで相手にならない。Eランク勇者の俺が世界を救ってみせる~  作者: その辺の双剣使い
3─2

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128.アフカルの眷属



 俺は、宿に戻ると真っ先にヴィラの部屋を訪れる。アイシャには自分の部屋に戻るよう言ったが、けっきょく彼女も一緒に付いてきていた。

 ノックをすると、すぐにヴィラの声が返ってくる。


「カケルだ。まだ起きてるなら、少し話をしても良いか?」

「旦那様、ずいぶんとお早いお帰りでしたね? まだ起きておりましたので、何かお話があると仰るなら、わたくしの方は構いませんわ」


 俺だと聞いたせいか、ヴィラの声は弾んでいるように感じられた。


「じゃあ、入るぞ」


 俺はそう言って入室するが、一緒に入ったアイシャをチラ見したヴィラは一瞬だけ固まる。


「アイシャさんも一緒でしたのね……」

「当然にゃ。カケルと一緒に出掛けたのは、お前も知っていたはずにゃよね?」


 アイシャの言うことは尤もらしいが、だからといって一緒に訪問するとは限らない。

 ヴィラも、どうでも良い理屈だと感じたのか、特に言い争う姿勢は見せず「そうでしたわね」と言って軽くその言葉を受け流した。


「それでお話とは、わたくしに何か関係するような情報でも得られたのでしょうか?」


 さすがに察しが良い。若い見た目に反して、長い年月を生きているだけのことはあるようだ。


「ああ、ビンゴだ。アフカルの眷属を名乗る化物を、ついさっきぶっ殺してきたぞ。最近この町を騒がせていた謎の魔物の正体は、そいつだったみたいだな」


 俺の答えを聞いたヴィラの顔は、一気に青ざめる。よほどアフカルに対して、恐れの感情を抱いているようだ。


「出てこい、蜘蛛の魔物の脚」


 一応、彼女にも見せようと、俺はサイドバッグから例の脚を取り出す。

 少しだけ、人間の腕に戻ってやしないかとヒヤヒヤもしたが。完全に動かなくなっていたものの、取り出した脚はしっかり大蜘蛛の形状を保ったままであった。


「そっ、それは……」

「アフカルの眷属だと名乗っていた少年の腕が変化した物だ。まだ、それほど多くはないらしいが、そういう奴らは少しずつ増えてきているらしい」


 俺の説明を受け、ヴィラの表情は曇る。先程の恐れとは違う、何か別の感情に変わっていることが窺えた。


「いろいろと複雑な思いはあるだろうが。アフカルの眷属について詳しく話を聞かせてもらいたい」

「ええ、これから戦う相手に関して、当然知っておくべき事は沢山ありますからね。わたくしに分かる範囲で、お教えできる事は全てお話しましょう」


 ヴィラは、そう言うとアフカルの事について語りはじめる。


 彼女の話はこうである。

 奴は、気に入った者がいると自身の眷属にするそうなのだが、誰にでもなれるというわけではないようだ。

 眷属にする方法は吸血の際、耐性を見極めた相手に対し自分の体液を注入する。それでも百パーセント成功するとは限らず、大抵の者は耐えられずに死んでしまうらしい。

 魔力に対する抵抗力と強い生への渇望が、注入された血の負荷を上回った時に、はじめて眷属化が成功するというわけだ。

 アフカルの眷属となった者は、不死身の力を得る。

 強力な再生力を身に付け、頭部や心臓を完全に破壊でもされない限り死ぬことはない。

 また、魔物に変身する能力も得ることになる。

 その種類は、少年の蜘蛛以外にも獣や爬虫類など多岐にわたるようだ。


「なるほどな。それでヴィラは何になれるんだ?」

「わたくしは、狼の人獣(ワーウルフ)ですわね。父の方は異例でして、状況に応じて狼と大きな蝙蝠の両方に変身する事ができますわ」


 なるほど、それでパーティーの名前に狼を入れているわけか。紅き月とは、彼女たち親子の紅い瞳に由来するといったところだろう。

 この場で獣化するところを見せてもらいたいところだが、いずれ見る機会もあるだろうしそんな無粋な事は言うまい。


 眷属となる条件について説明を終えたヴィラは、その後アフカルの居どころについて話し始める。

 奴から身を隠すうえで、逆に相手の所在を知っておく事は有効だ。そのため彼女たち親子は、奴についての情報を常に集めていたようである。

 闇の帝王ことアフカルは、この大陸には本拠を置いておらず。現在は西の大陸の外れから、手下どもに対して指示をおこなっているらしい。

 さすがに遠く離れすぎているため、詳細については分からないようだが。彼女の故郷である、ルマーニャ地方に居ることだけは確かなようだ。


「ひょっとして、殺さずに生け捕りにした方が良かったか?」

「いえ、召喚者たちもかなり成長してきているようですし、侵攻を遅らせるための十分な手助けにはなってもらえるでしょう。それに旦那様は、この世界をゆっくり旅したいという望みをお持ちなのですよね? でしたらミコト様の仰るとおり、まずは移動手段を確保したうえで、ゆっくりと情報収集いたしましょう」


 ヴィラの口から召喚者という言葉を聞いて、俺は久しぶりに奴らの事について思いを馳せる。

 取りあえず、生きている事実だけでも知らせるべきだろうか。それとも一旦、死んでいるままにしておいた方が都合が良いのか。

 俺は少しだけ悩んだが、自由に動くためには後者だと決断する。同時に、明日ギルド支部に報告しにいった際、ある事を打診してみようとも思った。

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