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寝て起きたら異世界  作者: 634
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二十九



『そのツクヨミももうこの世には居ない……寂しいもんだね、背中を預け合った仲間がもう居ないってのはさ』



……カナリアの言葉を思い出した。そしてその時に三人が見せていた辛そうな顔も


辛そう…じゃない。辛いんだ、悲しいんだ。三人はあの時こんなに重い感情を受けてたんだ



胸が痛くなる。締め付けられる。苦しいよ、悲しいよ



会いたいのに会えない。話したいのに話せない。もう二度と三人には……




「………ヴェルファウド……シノノメ……やっぱり僕行く。僕を止めないで……お願い……お願いだから……僕を行かせて」



僕を見つめる二人に深く頭を下げた



足手纏いでも良い、僕の事は気にしないで良い、自分達の事だけ考えて良い。自分の事を、仲間の事を護ってくれて良い


僕は君を識ってる。君は僕の事を識らないだろうけど


君が望まれて産まれた子だって識ってる。愛されて産まれた子だって識ってる。僕はそんな君を護りたいんだ、絶対に



三人が残した君を護りたい。何があっても、自分がどうなっても



君に、その仲間に辛い思いを、悲しい思いを…あんな顔をさせちゃいけない。させない




「………シノノメ」



「ああ。お前の言いたい事は分かってる」



二人が顔を見合わせて…何かを唱え始めた


……詠唱…?二人とももう魔力を使い果たした筈じゃ…




……置かれている両肩から魔力が身体に流れて行くのを感じた。身体に力が戻って行くのを感じる


…傷が治り始めてる。ゆっくりだけど、確かに塞がって行ってる




「シロ、私達の〝命〟を君に託す」



「……え…?」



ヴェルファウドが唐突に…そう一言、僕へ告げた




命を…託す?


何を言ってるの…?命って…




「正確には命を代替にした〝魔力〟だがな。ヴェルファウドからは魔力、私からは傷の治癒……身体は未だ痛むか?身体に力は戻ったか?」



……痛くない。身体に力も戻ってる。立ち上がってもふらつかない、足がしっかりと僕の身体を支えてくれている


二人を見ると……二人とも顔を俯かせてた。浅く息をして吐いて……吐くその息は震えてた



疲れてる…?ううん、単純に疲弊してるだけじゃない……これは…



……〝命〟を…削ったの…?それを僕に…?




「……行くんだ。絶対に護りたいんだろう」



「ジェーノ君の側には私の娘も居る……どうか、私の代わりに娘も護ってくれ」



「……ありがとう、託してくれて。僕、行って来るね」



 

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