二十五
「……遠い昔、私の里にホロコストとエネミデアが二人の間に出来た赤子を見せに来てくれたんだ。里の周囲を覆っていた魔法を潜ってね……エネミデアに構築を見抜かれ、簡単に突破されてしまった」
「…!」
……そう…なんだ……無事に産まれたんだ、赤ちゃん
………良かった。二人はきっとカナリアの所に匿って貰えたんだ、あそこで赤ちゃんを産む事が出来たんだ
「そこで君の話を聴いたよ。尤も、二人は君の事を〝シロ〟と呼んでいたから今まで気付けないでいたんだが……君が口にした三人の名前を聴いて繋がったよ」
「…私の死後の話か。私が生きている時は二人に子供は居なかった」
「……ああ、そうだよ。二人は君にとても感謝していた。君が居なければきっと子を無事に産んであげる事は出来なかったと、君が居なければ自分達も無事では居られなかったと……ずっと君への感謝を述べていたよ」
ヴェルファウドから二人の言葉を聴く度に胸が痛む感覚に襲われる。それと同時にほっとするような…上手く言い表せない
二人とも僕が元の世界に戻った後も元気で…壮健でいてくれた事への安堵と……二人が望んでいたものとは大きくかけ離れている今の僕を二人が見たらと思うと……それを想像すると胸が痛くなる。これは……
……これがきっと〝悲しい〟、〝辛い〟って感情なんだ。俯いてしまいたくなる、顔が歪んでしまう……あの時に三人が見せていた……
「二人…いや、三人を護ってくれた事、三人の為に自分の身を顧みず一人離れようとした事……再び会うと誓い、別れた事……君が今言った事は全て君が三人にしてあげた事だ」
「……ッ…!!」
それは………だって……そうした方が良いと思ったから…
エネミデアとホロコストを護ってあげた方が良いと思ったんだ。動く事が満足に出来ないエネミデアと…エネミデアを庇って、護って闘わなきゃいけないホロコストの事を
助けなきゃいけないと思ったんだ。エネミデアを、ホロコストを、産まれて来る赤ちゃんを
自分よりも大切だと思ったんだ。エネミデアが、ホロコストが、産まれて来る赤ちゃんが
だから僕は助けた、護った、別れた。大切だから、無くしたくないと思ったから、大好きだったから。
「…今の君の姿はエネミデアもホロコストもカナリアも望んでいない。もう分かるだろう?」
「……うん……っ……うん……!」
僕は命を弄んだ。命を創って遊んでいた
命を軽々しく考えた。一つの命の為に懸命だった二人を否定してしまったんだ




