二十四
何を……してるんだろう、おじさんも…竜王サマ…
…ううん、〝シノノメ〟も、〝ヴェルファウド〟も……僕の傍で…何を…
……シノノメ、治癒魔法って言ってた。ヴェルファウドも残りの魔力で精一杯やってる…って……
……少しずつ身体の痛みが和らいで行ってる。ぼやけた視界も少しずつ二人の姿を捉えられるようになって来てる
僕の事を……助けようとしてくれているの……?どうして…?僕は二人の事を殺そうとしたんだよ…?
「………っ……」
…はっきりと見えるようになった僕の目が映したのは…ぼろぼろになりながら僕の顔を覗き込む二人の姿だった
服は破れ、至る所から血が滲んで…身体中から血を流してる。その傷も治り切ってない…二人とも重傷だ
それなのに…何で僕の事を治してるの…?僕を治すよりも自分達の傷を治せば良いのに…僕の事なんて放ってしまえば良いのに……
「…虚、身体は動くか?指や足の感覚は有るか?」
僕にシノノメが訊いて来る。指…足…
……動く。ちゃんと動く。感覚が有る
頷くとシノノメもヴェルファウドもほっとしたように……険しかった顔を僅かに綻ばせて大きく息を吐いた
「…君の身体は著しく損傷していた。意識を失い、四肢が辛うじて繋がっているような状態だったんだ。治癒魔法でも治せるか不安ではあったが……そうか、良かった…」
「…どうして?僕は二人の事を殺そうとしたんだよ…?何で僕を助けるの…!?自分が傷付いてまでして…ッ!!」
「……私は君を殺して止めようとした。君とはもう話が出来ないと判断したからね。だが……そうしようとした私を止めたのはこいつだ」
「………賭けではあった。君は一時の感情のままに行動した、早く楽しみたくて私達へと掛かって来た。己の怒りに身を任せた。だが……こうしてもう一度話す場を作る事が出来れば君は分かってくれると、識ってくれると思ったんだ。だから私は君に賭けた」
「……ッ…!そんなのっ…!分かんないよっ……!識らない…!何でそんな事が言えるの…!?何でそんな曖昧な事に自分の命を懸けられるの…!?何でそんな事で自分達を蔑ろにしてまで僕を助けられるの…!!?」
「……君は既に識っているだろう、〝シロ〟」
「……!!」
何で……その名前を…僕が呼ばれていた名前を…!?
エネミデアの顔が、ホロコストの顔が、カナリアの顔が頭を過ぎる。裂け目に入る直前……最後に見た寂しそうに笑いながら僕とまた会える事を楽しみにしている三人の顔が
その名前で呼ばないで…!僕は間違えた、三人に会えない、悲しませてしまう、僕は…っ…!




