二十三
……視界がぼやけてる。上手く映らない…僕……倒れてる…?誰かが僕を見てる…?
……何…これ…?何で…こんな事になってるの……?
……身体が痛い、全身が激痛を感じてる。声を上げたいのにその声すら出す事が出来ない
僕……どうしたんだろう……何で…こんな……
「虚っ!!聴こえるかっ!!虚っ!!!」
誰かが僕を呼んでる。男の人の声だ、聴いた事の有る声だ
誰だろう。僕を知ってる男の人……
「……ホ……ロ……」
掠れた声で漸く絞り出した言葉は続けられなかった。声が出なかった事もそうだけど…僕を呼んだ人がホロコストじゃないって分かったから
ホロコストは僕の事を虚って呼ばない。ホロコストは僕の事をシロって呼んでた、この人はホロコストじゃない
………ああ……そう、だ……僕は……
…僕は……全部壊そうとしたんだ。自分を、全てを壊そうとしたんだ
…じゃああれは…?今まで僕が見ていたのは…?全部…幻なの?
ちがう、違う。幻なんかじゃない、僕は確かにこの世界に来た、エネミデアとホロコストとカナリアに会った。戻る前に……必ずまた会おうって言って別れた
……だけど、僕の事を呼んだのは二人じゃ無かった。だから僕は…エネミデアに言われたように……
「…………ぼ…く……」
………今の僕を見たらエネミデアは、ホロコストは、カナリアは……笑ってくれるのかな。また会えたって、そう言って笑ってくれるのかな
困ってる人を助けていたつもりだった。凄く困ってるって…そう言っていたから
ちがう、違う。間違ってる。こんなの……こんな姿三人には見せられない。見せたくない
今の僕を見たら、僕がやって来た事を見たら……エネミデアとホロコストは凄く悲しむ、カナリアは凄く怒る
だって……今の僕は……言われていた通りの僕になってしまっているから。〝シロ〟じゃない…〝虚〟になってしまっているから
どうして……どうしてもっと早く気付かなかったんだろう。どうしてもっと早く思い出さなかったんだろう
識る事ばっかり考えて大切な事を、大切な人を忘れてしまっていた。自分の事を優先してしまった
「………ごめ、ん、ね………エ、ネ、ミ……デ、ア…ホロ…コ、スト……カ、ナ…リ……ア……」
「……!!?虚…!?何故君がその名を…!!?」
「集中を切らすなヴェルファウド!!!今はお前の陳腐な治癒魔法ですら重要なんだ!!!」
「陳腐ですまないね!!これでも残った余り粕のような魔力を使って精一杯やっているんだ!!」




