二十一
それから僕達は森を抜けて暫く走り続けた。またあの大きな姿になったカナリアの背にエネミデアを乗せて
どこまで走るんだろう、随分森から離れちゃったけど…
……また暫く走ってカナリアは漸くその足を止めた。全方から僕達の事が見える何も無い所で
もし追っ手が此処に居たら一目散に僕達を襲う。そのくらい遮るものが何も無い
『よし、ここら辺で良いだろう。此処ならあんたがしくじっても被害が少ない』
『……見縊るなよ…と言いたいが、魔法の精度に関しては強く言えんな…』
「…どういう事?」
『こいつ魔法を扱うのが下手くそなのさ。魔力と威力ばっかり有って何処に飛んで行くか分からないんだよ、こいつの魔法』
カナリアからそう言われてホロコストは眉を顰めながら僕達と目を合わせずに顔を逸らしていた
ふぅん、ホロコストって魔法使うの下手なんだ。そういえば使ってる所見た事無かったな
…最後にまた一つ識れた。僕が識らなかった事
『あまり長居は出来ないよ。此処は隠れる所が何も無い、匂いは無いから大丈夫だとは思うけど万一あたし達が一緒に居る所を見られていたらもう隠しようが無くなっちまう』
『…分かった。エネミデア、身体は大丈夫か』
『はい。大丈夫です』
そう言ってエネミデアは僕を見る。そのまま僕の目の前に歩いて来て…
……またその顔してる。カナリアの家で三人がしてた顔
『……お別れですね、シロ君』
「うん」
『最後にもう一度御礼を言わせて下さい。私達の事を、赤ちゃんを此処まで護ってくれて本当にありがとうございます……私の本心を言うなら、貴方とこんな形で別れたくはありませんでした』
「それしか方法が無かったんだもん、仕方無いよ」
『……シロ君』
「何?」
『…どうか、壮健でいて下さい』
「壮健って何?」
僕が訊くと、エネミデアが小さく笑った
…最後に見れた。エネミデアの笑った顔
『健康で、元気でいて下さいって事です。シロ君、もしかすると貴方をこの世界に呼んだ方がまた貴方の事を呼び戻すかもしれません』
…そっか。これが最後じゃないかもしれないんだ
今別れても此処に居る皆が壮健でいればまた会えるかもしれないんだ。呼んでくれればまた会えるんだ




