十九
元の世界に…帰る?
…そっか。カナリアの言う通りだ、あそこには僕一人しか居なかった。危険とは全くの無縁の世界だ
それで二人が此処に居られるならそれでも良いや。追って来る人達が僕を狙ったとしても危険だとは全然思ってないけど
……でも、それで二人が納得するなら良いや。カナリアの言う通りに僕が元の世界に…
………どうやって戻るの?
『……カナリア、シロが元の世界に戻る方法は有るのか』
『一つは送還の魔法陣を形成する事。ま、これは無理だね。あんたは無駄に魔力は有るけど魔法の精度は大雑把、エネミデアも即席で使えはしない…だろう?』
『…そうですね。私は〝ツクヨミ〟程魔法には長けていません。送還の魔法陣を創れるのはツクヨミだけでしょう』
『だろうね。そのツクヨミももうこの世には居ない……寂しいもんだね、背中を預け合った仲間がもう居ないってのはさ』
……三人とも同じ顔をしてる。辛そう…?悲しそう…?なのかな、口を真一文字に結んで俯いてる
そのツクヨミって人はもう死んじゃったんだ。だからもう会えない
それを三人は悲しんでる…んだと思う
『…話に戻るよ。ならどうするかーーー二つ目、最高位の魔法同士を衝突させてこの世界に歪みを生じさせる』
『…歪みだと?』
『ああ。最高位の魔法同士を衝突させて相殺させると僅かな間だがこの世界と異なる世界が繋がり、歪みとなって現れる』
『…その歪みがシロ君が居た世界と繋がっているのですか?』
『この世界に来るにはその二つの方法しか無い。生憎今の話全部ツクヨミの受け売りだけどさ……虚、あんたはこの世界にどうやって来たんだい?』
……僕は…
ああ、僕は元居た世界に急に現れた裂け目を通った。ずっとずっと変わらない空虚な世界に初めて起こった変化に興味が沸いた
そうだ、その裂け目の中に入って…気付いた時にはこの世界に居た。そこでエネミデアとホロコストに初めて会ったんだ
「…僕は急に現れた裂け目を通ってこの世界に来た。カナリアの言ってる歪みだと思う」
『…確定だね。二つ目の方法で繋がる世界が虚の居た世界だ』




