十七
僕が…この場に居る事が問題?
何で?僕は此処に居ちゃ駄目だったの?どういう事なんだろう、全然分かんない
『…二人を護る為とはいえ、派手に暴れ過ぎたねあんた。話に多少の尾鰭は付いてるんだろうけど、大分広まってるよ。〝虚な容姿をした男が種族の見境無く無差別に襲っている〟ってさ』
『そんなっ…!シロ君は私達の追っ手を追い払ってくれていただけです!そんな事は一度も…!』
『言ったろう、尾鰭が付いてるって。そう伝えりゃあんた等を捜すのが楽になるだろう?種族の見境無く襲うってんなら当然その男が居る所の情報だって入り易くなる。虚の居る所があんた等の居る所だからね』
『……魔族やエルフだけで無く、全ての種族に共有されているという事か。俺達が共に居る事を伏せて』
『御名答。あんた等が此処に来る事も道程で予測されてると思うよ』
……そっか。最初此処に来た時に感じた視線は僕〝達〟に向けられたものじゃ無かったんだ
あれは〝僕〟に向けられたものだった。種族関係無く襲ってるって言われてる僕の事を警戒して近付こうとしなかったんだ、獣人の人達は
………そっか。
「もう追っ手がそこまで来てるって事?」
カナリアに訊くと首を振られた。まだ来てはいないんだ
…でも、話し振りからすると来るのはそう遠くは無いって言ってるように見える。あんまり時間は無いって事だよね
『傍にあんたが居るから相当警戒してるんだろう。この森もその近くにも匂いは無い。大方戦闘の準備に勤しんでるんじゃないかい』
「匂い?」
『あたし等獣人は鼻が利くんだよ。あんた等が来るのも匂いが近付いて来たから察知出来たのさ』
「…ふぅん。今追っ手は誰も居ないんだよね?」
『そう言ったろう?まだあんた等があたし達の森に来た事も把握していない筈だ』
「そっか」
『……シロ君…?』
エネミデアが僕を呼ぶ。僕が何をしようとしているのか分からないみたい
エネミデアは此処に居た方が良い。日に日にエネミデアは動く事が難しくなってる、こんな状態で歩かせちゃいけない事くらい僕でも分かる
そうする為には……カナリアの言う〝問題〟を解決する為には……
「ねえ、僕が此処から居なくなればエネミデアとホロコストを匿ってくれる?」
『…!!』
『…確約は出来ないね。さっきも言った、あたしがどんなにそうしたくても他の奴等が首を縦に振ってくれなきゃ認められない』
「でも僕が居たらその認める認めないにも行かないんでしょ?」
『………そうだね。あんたは今畏怖の象徴になっちまってる、あんたが噂通りの奴じゃ無いってのは分かるよ。エネミデアやホロコストがあんたを庇うって事が何よりの証明だ』
「うん、僕そんな事してないよ。二人の事を狙って襲って来る人達にしか魔法撃ってないもん」
『…それを他の獣人達にも信じさせてやりたいんだけどね。信じさせるには時間が足りな過ぎる』
「良いよ。僕が居なくなって問題が解決するならそれで。僕出て行くよ」




