十六
暫く三人で揉みくちゃになった後にエネミデアが場を落ち着かせて再度話を戻す事になった
…まだ視界が揺れてる。カナリアがホロコストに何か言う度に僕の肩を掴んで揺らすからだ
カナリアって凄い力だ。足も速かった、獣人の中で一番って言われてるだけある。こんな細い見た目をしてるのに
『さて……話を戻すよ。あんた等を匿う事はあたしとしては前向きに検討したいと思ってる。あ、やっぱりホロコストは除外、あんたは出て行きな。しっしっ』
『…………………』
『冗談だっての、そんな顔すんじゃないよ。そうするに当たって解決しなきゃならない問題が有る』
そう言ってカナリアは指を三本立てて見せる。つまり…その三本が問題で、カナリアはその三つの問題を解消出来たら匿うって言ってるんだよね
『一つ、あんた等を匿う事は魔族やエルフの相当な反感や怒りを買う。最悪その二種族と獣人の戦争に発展するかもしれない。それを避けるにはあんた等を隠し通す必要が有る』
『…………………』
ホロコストとエネミデアはその言葉を受けて視線を落として顔を歪めている。二人の姿を見てカナリアは小さく溜め息を吐きながら目を閉じて一つ指を下ろした
『二つ、その懸念が有る以上あんた等を匿う事を他の獣人が赦してくれるかどうか。さっきも言ったね、あたし〝個人〟としてはあんた達を匿ってやりたい……が、獣人達が反対するならあたしはそれを認める事は出来ない。同意して貰えるよう最大限計らうけどさ』
そう言ってカナリアはまた一つ指を下ろした。残った一つだけ立てた指ーーーカナリアは目を開くとその指を僕へと向けた
……僕?僕が…どうしたの?
『虚、あんたはこの世界の住人じゃ無いだろう?』
『…!!』
カナリアは僕へそう訊いて来た。そしてそれを聴いた二人は凄く驚いた様子で僕へと視線を向けて…
……ああ、そっか。二人には言ってなかったんだ、僕が違う所から此処に来たんだって
色の無い世界から、色の有るこの世界に
何も無い世界から、沢山のものが有るこの世界に
僕に沢山の事を教えてくれたこの世界の人じゃないって言ってなかった。言わなくちゃ駄目だったのかな?
『匂いが全く異なってるんだよ、あんた。近い所で言うならシノノメ達三人…違う世界から来た奴等と似た匂いをしてる。直ぐに分かったよ』
「ふぅん、僕の他にも同じように来た人達が居るんだ」
『……居る、じゃなく居た、だね。もうその三人は誰も生きてないよ』
『……カナリア、何故シロが問題となる?』
『そうです!教えて下さい!シロ君は問題なんて起こしません!』
『………上手い言い方が見付からないから単刀直入に言っちまうよ。あんたがこの場に居る事自体が問題なんだ』




