十四
「ねえ、この人も追い返した方が良いの?」
『いや、こいつは追い返さずとも良い。こいつが私達の言っていたカナリアだ』
……ふぅん、この人がカナリアなんだ
〝獣王女〟カナリア
獣人って種族の王女だって二人は言ってた。僕達の味方になってくれるかもしれない人だって…この人に助けを求める為に僕達は此処まで来たんだ
『そんで…成る程、あんたが〝虚〟か。言い得て妙だね、その言葉通りの見た目をしてる』
「虚?僕ってそう呼ばれてるの?」
『ああ。居るのか居ないのか、存在しているのか存在していないのか…そんな思いを抱かせるような儚げな容姿。その容姿とは裏腹にとんでもない魔法を使うらしいじゃないか、誰も手を付けられないようなさ』
「手を付けられないのは向かって来る人達が弱いからだよ」
『あっはっはっ!!言うじゃない!流石魔王と霊王女が選んだだけあるね!』
『…俺達はもう魔王でも霊王女でも無い』
『………ま、此処で立ち話も何だ。一先ずあたし達の森に行くとしよう、エネミデアはあたしが背中に乗せてくから男共は頑張って付いて来な』
エネミデアを乗せたカナリアの後を追って暫く走り続けると拓けた場所に着いた。森の中ではあるけど木で造られた家が並び、カナリアと同じような容姿をした人達がいる
多分この人達が獣人って種族なんだ。耳の位置が違うし尻尾が有る
……その獣人の皆は僕達の事をあまり快く思っていないみたい。皆遠巻きから見るだけでカナリアのように自分から近寄っては来てくれない
『さーて着いた。怠けて身体を鈍らせたんじゃないかって思ってたけどそんな事は無かったね』
『舐めるな。この程度で息を切らす筈無いだろう』
『はいはいその憎まれ口も相変わらずだね。あんたも息は切れていないようだね、やるじゃないか』
「このくらい平気だよ」
『へぇ、頼もしい。護ってくれる騎士様が二人も居るなんて羨ましいねぇ』
『も、もうっ!揶揄わないでカナリア!』
『……カナリア、俺達がお前の元へ来たのは』
『さっき立ち話も何だって言ったばかりだろ?落ち着ける所に行くまで話を急かすんじゃないよ、せっかちな男だ』




