十三
また景色が変わった。此処は…
〝草〟や〝木〟が周りを囲んでる。〝森〟の中を歩いてる
僕の少し後ろを二人が歩いてる。エネミデアの足取りがかなり重たい、少し息を切らしながら歩いてる
その隣で…〝ホロコスト〟が心配…そう?なのかな、眉を下げてエネミデアに寄り添ってる
『大丈夫か』
『…はい、何とか。今は辛いなんて言っていられませんから』
『間も無く〝カナリア〟の住む森に着く。もう少しの辛抱だ』
「ねえ、このまま真っ直ぐ歩いて行けば良いの?」
『ああ、それで良い』
『……〝シロ〟君は本当に頼りになりますね…』
……シロ
ああ、僕そう呼ばれてた。有ったんだ、名前。
……名前って言うよりは見た目…かな。僕の見た目が〝白い〟みたいだからそう呼んで良いよって言ったんだ
自分の名前なんて識らない。有るのかさえ分からない
『…お前には本当に助かっている。お前が居なければ俺達はカナリアの所へは辿り着けなかったかもしれん』
『シロ君……こんな時に言うのも可笑しな事かもしれませんが、貴方は私達と共に行動して本当に良かったんですか?その所為で貴方は…』
「良いよ。二人と居ると色々識れるから」
『……ありがとう、ございます……』
何でそんな顔するんだろう。僕が良いって言ってるのに
辛そうな…?嬉しそうな…?そんな顔を
二人と居れて僕は色々教えて貰ったからそれで良いのに。今歩いてる〝森〟、〝草〟、〝木〟…全部教えて貰ったから名前を識る事が出来たんだ
教えて貰わないと識る事が出来ない。僕の名前だってそう。誰かが教えてくれないと分からない
『…進みましょう。シロ君、もう少しだけ頼りにさせて下さい』
『……いや、どうやらお前はもう歩かずとも良さそうだ』
『え?』
音がする。姿はまだ見えないけど、凄い速さで何かがこっちに駆けて来てる
もしかしてまた追って来た人達なのかな。もう何回も何回も追い返してるのにまだ懲りないんだ、良い加減諦めれば良いのに
…だけど、今回は様子が違う。この速さは今まで二人を追って来ていた人達とは比較にならない
離れててって言おうと思って二人の方を振り返ると……
……これも今回は様子が違う。いつもならエネミデアを庇うようにしてるホロコストが全然構えない。それどころか警戒すら解いてしまってる
訳が分からないままでいる僕の前に現れたのは…大きな……
大きな……何か。初めて見る大きな生き物。橙色の毛を靡かせて僕達の事を見てる
『やっぱりあんた等だったね!久し振りじゃないか!』
……喋った?
喋れるんだ、この生き物
『久しいな、〝カナリア〟』
『心配してたんだよ、あんた等が魔族共に追われてるって聴いてたから。でもまあ、あんたとエネミデアなら大丈夫だろうとも思ってたけどさ!』
………形が変わった。四つ足でいた状態から僕達と同じ二足になって、見た目も僕達と同じようになった
橙色の長い髪、その髪?頭?に長い耳が生えてる。僕達と耳の位置も形も違ってる
後は…お尻の辺りに髪と同じ色の尻尾が生えてる。大きな尻尾
形が変わる前は大きかったのに、その半分くらいまで小さくなってしまった。小さい…とは言っても、僕よりはずっと大きいけど




