七
虚に魔力が集中している。途轍も無く大きな魔力が
これ程までの魔力を有していたのかこの子は。本当に底が知れない、見えない
この子は識り始めている。自分に無かった感情を
識り始めたからこそ、分かり始めたからこそ憤っている……何も無かった自分に
……何をしようとしているんだ。これだけの規模の魔法を一度に使えば此処は崩壊してしまうぞ…!?
まずい!それでは私達も…上に居る皆も瓦礫の下敷きになってしまう!!
「ヴェルファウドッ!!魔法壁で此処を覆えっ!!」
「…虚は今自身に魔法壁を纏わせていない。今なら…」
「駄目だっ!!それでは虚を殺すだけだっ!!お前はそれで良いのか!!?」
「状況を理解していないのはお前だシノノメッ!!此処を覆ったとしても内に居る私達は虚の魔法を諸に食らう!!死ぬつもりか!!?」
「…私は唯を抱き止めると約束した。此処で死ぬ気など毛頭無い」
私の返答を聴いたヴェルファウドは顔を歪めながら歯を強く食い縛り、虚へと視線を向ける
魔力が蟠を巻いている…もういつその魔力が爆発してもおかしくは無い
「…なら死ぬ気で自分の身を護れ。私も生きていられるかは分からない」
「訂正しろ。耐え抜いた後直ぐに治癒する、だから絶対に生き延びろ」
「……全く、老骨にどれだけ鞭を打たせるつもりなんだ。ああ分かったよ」
ヴェルファウドが両手を翳し、部屋一面を魔法壁で覆う。分厚く強く硬い魔法壁だ、自分に有る殆どの魔力をそこに回したようだ
…そして、私と自分の前に薄氷のような薄い魔法壁を現出させた。これで耐えられるとは思っていないだろう、幾分かでも魔法の衝撃を和らげようとしているのか
耳を劈く高音が聴こえる。これから襲い来る魔法の予兆を報せている
ーーーー不意に、その音が止まった




