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寝て起きたら異世界  作者: 634
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788/824



ああ、凄いな。竜王サマってこんなに…こんなに強かったんだ


動きが捉えられない。目で追えない。防御が、回避が間に合わない


壁に叩き付けられて、竜王サマの拳を受ける度に僕の覆った魔法壁が壊されて行く。ただそれを受け入れる事しか出来ない




何度かそれを繰り返して……竜王サマの拳が僕の魔法壁を完全に破壊した。罅割れた魔法壁が一気に破裂して霧散してしまった


それと殆ど同時に僕が感じた……お腹への物凄い衝撃。吹き飛ばされながら感じた確かな……強い強い、感じた事の無い痛み


壁に激突する。頭を打った、背中を打った。



……痛い。凄く、凄く痛い。お腹が、背中が、頭が


…立てない。立ち上がれない、起き上がれない



お腹から胸に何かが迫り上がって来る。止められない〝気持ち悪い〟感覚


床にそれを吐き出してしまった。水音を立てながら床に広がる…これは……僕の血…?



……駄目だ。治さなくちゃいけない。分かる、識らないけど分かる。僕の中の本能が告げている、このままじゃいけないって言ってる




「驚いたな、治癒魔法まで使えるか。それもこの前シノノメが使ったのを見て識ったのか」



「………………」



僕の様子を見ながら竜王サマは一歩ずつ……ゆっくりと近付いて来る


もう一度魔法壁を創らないと。もう今受けた痛みは感じたくない、嫌だ。感じたくない、受けたくない


守らないと。もっと硬く強くしないと。またあの痛みを感じる事になる




「また同じ事を繰り返すつもりかい?」



冷たい瞳を僕に向けてそう静かに言って……竜王サマは拳を引き絞る。大丈夫、一回なら耐えられる。受けたら直せば良いんだ、直ぐに直したらずっと耐えられる




ずっと……




耐え…られる……?




……無理だ。魔力は無限じゃない、僕に有る魔力はいつか枯渇する。そうなったらもう耐えられない


竜王サマが拳を振るう。大きく引き絞り放つ一撃…僕が新たに創った魔法壁を一回で壊すつもりなんだ




「…………シノノメ…」



「やり過ぎだヴェルファウド。今のこの子の様子を見て分からないのか」




……その一撃が当たる事は無かった。竜王サマの前に…僕の前におじさんが立って、その一撃を大剣で防いでくれた。受けたおじさんの足場は大きく凹んで罅割れて…途轍も無い威力だった事を思い知らされる



……どうして…?竜王サマもおじさんも……どうして自分達に向かって来た相手を護ろうとするの?自分が傷付く事すら厭わないで…



 

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