二十六
この二人は何処にいようが何をしていようがこうなんだろうな。流石に今は状況が状況なだけにお互い直ぐに矛を収めたみたいだけど
戦況が今どうなっているか確認しないといけないが……此処からじゃしっかりと把握するのは無理だな。目に見える範囲しか情報が得られない……目に見える事しか
街の入り口に誰も居ない。最後の砦となる筈の人が居なくなっている
……そしてその人は……中央に一人残るホウセンさんの所に居る。遠目からでも分かる程にホウセンさんは満身創痍だった
街に現出する渦、二人と対峙している魔物、そして前方から迫り来る魔物の群れ……そうか、そういう事か
……選ばせたな。カープリート
ダイオンの人達とホウセンさんの命を…八雲さんに
お前には分からないよな。それがどれだけ辛く、苦しく、重い決断なのか
お前には分からないよな。その決断を嘲笑い、馬鹿にし、蔑むお前には
「…お、おい、暁…」
「……時間が惜しいです、動きましょう。右方の魔物二体が此方に近付いています、魔王が相手をしてるって事は相応の強さを持っている筈です。気を付けて下さい」
「…気を付けるのはおめーもだぞー。滅茶苦茶怒ってんじゃねーかおめー」
「…すみません、気を付けます」
「ステイン、おめー中央と右方どっちに回るー?」
「右方だ。あの魔物はお前には荷が重い」
「んあ゛ぁ゛ーー!!!?てめーおれの事舐めてんじゃ「舐めているのでは無い!!心配しているんだ!!お前が強い事は知っている!!だが右方は治癒魔法を唱えられる者が居ないだろう!!?中央なら八雲が居る!!お前が負傷しても治せる者が居る!!」
「ンぉっ…」
ステインさんに圧され、スミスさんは出掛けの言葉を飲み込んだ
……今まで聴いた事無い言葉だったんだろうな。驚きで目を丸くして…その後ろで竜人達が苦笑しながらやれやれとでも言いたげに首を振っている
「スミスを特別視すんなステイーン」
「俺達は負傷しても良いってのかー?」
「煩い!!!!早く行くぞお前等!!!!」
今の発言を冷やかす竜人達に顔を赤くしながら怒鳴って…というか照れ隠ししてステインさんは街を飛び出して行った。それに竜人達も続き…丁度半数程がステインさんを追って行った
その後ろ姿をスミスさんはぽかんと呆けながら見送っていた。その顔は心無しか赤い…いや、心無しじゃなく普通に赤い
「俺達も急ぎましょう」
「……あ、うん。行く」
「……そんな呆けたままじゃ直ぐ魔物に遣られちゃいますよ。ステインさんが心配します」
「うっ、うるっ、うるせーっ!!!ああもう何なんだよあいつー!!おれを心配なんて一度だってした事ねー癖によー!!」




