二十四
転移魔法から出た俺の目の前に映ったのは街を破壊しながら向かって来る魔物達の姿だった
間に合わなかったのだと…一瞬、嫌な考えが頭を過ぎった。だが直ぐにその考えは間違いだと気付いた
転移魔法が街の入り口辺りに現出している。そこから出て来る魔物達が此方へ侵攻して来ている
幸い城へはまだ侵攻し切れていない。まだ侵攻を食い止める事が出来る
……耐えて、くれた。俺が戻って来るまで…カープリートの、魔物達の猛攻を
ありがとう、皆。本当に…本当に
辛かったでしょう、苦しかったでしょう、厳しい闘いだったでしょう
……もう、その時間は終わりだ。ここからは……俺達の反撃の時間だ
側に居る人へ顔を向ける。それだけで俺が何を言わんとしたかを理解してくれたらしく、小さく頷く
……まあ、この状況でお願いする事なんか一つしか無いか
手を前に翳し……すうっと息を吸ってその人はこう告げる
「街の魔物の殲滅を最優先。行きなさい〝自動機械〟」
その言葉と共に静観していた自動機械達が動き始める。転移魔法から現れる自動機械達も勢い良く街を走り出して行く
…流石、自動機械の操作はお手のものだな
そして、その渦から現れるのは自動機械だけじゃない。渦から跳び出し、四つ足で地を駆け自動機械と共に魔物達へと掛かって行くーーー獣人達も転移して来ている
「自動機械も…ルーザに居る獣人達もまだまだ来るわよ。街は心配しなくて大丈夫」
「そんだけ呼んで転移魔法の構築は大丈夫なんです?」
「あら、貴方が言ったんでしょう?〝総力を連れて来れるくらい転移魔法を使い熟せるようになってくれ〟って」
「…それなら心配なさそうですね」
「漸く貴方達の役に立てるんだもの。獣人の皆もしっかりと鍛えていたわよ、ライオネルに頼まれていたからね」
そう言ってオリオンは笑う。そうしている間に自動機械と獣人達は次々に魔物達を斃して行く…これなら街の指揮はオリオンに任せて心配無さそうだな
「暁君!我々は戦前に出る!」
「行きましょうルーギアス!」
『私達も共に!!!!!』
……そう言い残し、ルーギアスさんとファーレイさんを先頭にエルフの皆は街を出て左方へと駆けて行く
……凄いよな、エルフの人達。ルーギアスさんに褒められたい、力になりたい一心で全員が転移魔法唱えられるようになってんだからさ。それ以外に剣も使えるようになってるし、魔法も上達してる
まあ……そのお陰で転移魔法の習得が間に合わなかった魔族達を此処へ呼ぶ事が出来たんだ、理由はどうであれ本当に助かった
「俺等は魔王様の加勢に回りますよ。それで良いでしょう?」
「ああ。頼むよベリアル」
「……あんたにそう言われても嬉しかないんですがねぇ。殴られた恨み、忘れてませんからね」
「それはこっちの世界の俺に言ってくれよ。でもそのお陰で心を入れ替えて不乱に鍛錬に打ち込めたんだろ?その調子でお前もオルガへの偏見も無くしてくれよな」
「……一々煩いんですよあんた。余計なお世話です」
じろりと俺の事を睨むように一瞥してベリアル達魔族も街を出て右方へと向かう。言葉は素直じゃないけど、あいつも少しはオルガの事を見直してはいるんだろうな
…それもこれも、零也が魔族に進言したからだ。オルガの事をちゃんと見てくれって
「おーい、おれ等はどうするー?」
「エルフ達が左方、魔族達が右方へ向かったが…中央が随分と手薄になっているな。全員中央に回るか?」
「……いえ、スミスさんとステインさんは隊を二つに分けて右方と中央に回って下さい。中央には俺も回ります」
「おー。片方の竜人達はおれが指揮して良いんかー?」
「お前に指揮は無理だ。壊滅する」
「あ゛ぁ゛ー!?んだとてめー!!?」
「事実だろうが!!!」
「…こんな時まで喧嘩しないで下さいよ…」




