二十一
左方へ放った二体は少しずつではありますが着実に進んでいる。右方はカーズ達の足止めに成功…イザベラがその場から抜けたくらいデスか
周辺の魔物の殲滅に当たっているようデスが……右方の状況はあまり芳しくはありませんね。まあ、カーズの意識が戻った時点で彼方は破綻したようなものデスし、今更気にするだけ無駄でしょう
…それよりも。
中央。此処がまたしてもワタシの想定通りに行かなかった
覇王が炎の最高位魔法を使う?覇王が魔法を使う事など一度として無かったというのに?何故そんな事が出来る?
量を一気に減らされた。中央から街へと向かう魔物達をかなり消滅させられてしまった
……敢えて自分一人残ったのは周りに被害を与えない為だったという事デスか。ワタシは貴方の誘いにまんまと乗ってしまった訳デスね
…また苛立って来ている。どうしてこうもアナタ達はワタシを苛々苛々させるんデスか
デスが…どうやら放つ事が出来るのは一発だけのようデスね。そして魔力さえも枯渇させている…肉体を満足に動かせない程に
「行きなさい。覇王は疲弊していますよ」
ワタシの一言で玩具が駆け出して行く。もう覇王は隠す手を持っていないでしょう、例え隠していたとしてもそれを実行出来るだけの力はもう残っていない
…さて、さて。
もう兵隊の残りも少ない。もう此処で八雲と悠長に遊んでいる状況では無くなってしまった
動きますか。残りの全ての兵隊を注ぎ込んで
左方も右方も中央の援護には来られないでしょう。ならば中央に全てをぶつけましょう
……いいえぇ?そんな事をしなくとも面白い選択をさせられるのではぁ?
ウフフ。何をワタシは目先に捉われ馬鹿正直に正面から向かっていたんでしょう、今のこの状況なら…
八雲。や〜く〜も。助けに行きたいデスよねぇ?覇王を、魔王を、あの女を、イザベラを、此処で闘う全ての人を
助けに行きたい。けど行けない。ワタシが居るから。ワタシの攻撃を止めなければならないから
はい、はい、はい。ならこうしたらどうしますか?助けに行かざるを得ない状況にしたのなら。それなのに街を、城を壊されてしまうのなら…アナタはどうします?どちらを取ります?どちらを助けます?
誰を助けます?誰を見捨てます?誰を生かします?誰を殺します?
見せて下さい、アナタの選択を。アナタの決断を。醜く歪むアナタの顔を、アナタ達の顔を




