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寝て起きたら異世界  作者: 634
救う者、救えぬ者
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775/824

十九



迫り来る魔物達を薙ぎ払い、斬り裂き、消滅させる


…俺の配下達はルシフェルの元に着いたか。これで良い、これなら周囲を配慮せず放つ事が出来る



俺は魔量や魔力に長けている訳じゃねぇ。魔法を主とする奴等からすりゃ俺の魔法は陳腐に映るだろう




…ただ。




ただ一つだけ。そんな俺が得意とする魔法が有る



いつから吸い始めたのか覚えてねぇあれに火を付ける為だけに唱え始めた魔法。炎魔法



何度も使う度……次第に詠唱をする事が無くなり、自分の思うように使えるようになって来た。それで充分だと思っていた



…そんな時だったか、レイラが魔法を使う戦闘を取るようになったのは


他の奴がそれをしても何とも思わなかっただろうな。ああ、魔法が使えりゃ便利だよな、くらいで



ただ。



ただ、あいつには……レイラにだけは




……負けたくねぇと、そう思った



腕力ではとても敵わねぇ。もう充分過ぎる程に思い知らされて来た、そしてそれは今も思い知らされている…昔よりも更に顕著に


兵法に関しちゃ俺と同じように考え動く。その場その場で適切な判断を下す事が出来る



…このままじゃ俺はレイラに追い抜かされちまうと思った。魔法も唱えられる、戦闘も出来る、周りからの信頼も有るあいつに



子供じみた動機だってのは分かってる。ただ俺はあいつに負けたくなかった、あいつと同等でいたかった。隣立つ存在として、戦場で背中を預ける存在として





…周囲の魔物は殲滅した。だが城へと向かって来る魔物はまだまだ残っている、此方へと足を進めている…そう掛からない内に此処へ辿り着いてしまうだろう



それで良い。そのままの勢いでその足を此処へ進ませろ。今此処に居るのは俺一人だけだ、斃すにゃ絶好の機会だぜ?早く来い、もっと多く、もっと近くに




詠唱を始める。流石にこればっかりは詠唱無しじゃ唱えられねぇからな



大気が震えて行く。詠唱する俺を中心に渦巻くように炎が現出し始め…炎は色を緋色から色を無くし、やがて青く燃え始める


流石に異変に気付いたらしいな…勢いは止まり、その場に留まり俺の様子を窺う奴等が多くなっている。だが…これだけ近付きゃ今直ぐに逃げ出したとしても大多数は間に合わねぇだろう




「…!」



…何だ…!?転移魔法の渦が現出している…!?


それぞれ三方に…俺達の布陣に切り込ませるようにその渦から魔物が現れた。そして俺の前…此処からはまだまだ距離が有る、これを当てるには距離が遠過ぎるか



今現れた奴がどれだけの強さを有してるかは知り得ねぇが…先に仕掛けさせて貰うぜ



現時点じゃたった一発しか打てねぇ魔法。魔力の消費の無い全快の状態でしか打てねぇ魔法。一発だけで俺に有る殆どの魔力を使う大魔法



魔力が枯渇したら動く事も碌に出来なくなっちまう。後々を考えたら今これを唱えるのは得策じゃないのかもしれねぇ


…レイラが身体張って活路を開いたんだ。それを見て魔力が無くなったからもう動けない、なんて情けねぇ事が言えるかよ



絶対に動く、闘う。身体に鞭打ってでも、剣を刺してでも、何としても。



……お前が今の俺だったとしても、お前はきっとそう言う。そして絶対にそれを実行する、実行してみせる…お前はそういう奴だ







「〝迦具土神カグツチ〟!!!」





俺はそれをずっと見て来たんだ。そんなお前の姿を…ずっと


だったら…俺も負けられねぇよ。負けられるかよ!!



 

 

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