十八
打開する策が浮かばねぇ…どうすりゃ良いんだ。斬る事が不可能ならこいつを殺す方法が無い…攻めてもただ無駄に体力を消耗するだけだ
だが、こいつをこの場に留めなきゃ向かう先は決まってる…間違い無くこいつはダイオンにその足を進ませる
無駄だと分かっていても、意味の無い事だと分かっていてもやるしかねぇ…それ以外にどうする事も出来ねぇ。それなら…
「…イザベラ!!此処は俺とレイラに任せてお前は他の援護に行けっ!!」
「で、でもっ…!」
「でもじゃねぇっ!!周りを見てみろっ!!」
足止めを食らってるのはこいつだけじゃねぇ、俺達だって同じだ。俺達がこうしている間他への援護ーーー魔物の数を減らす事が出来てねぇ
腕の立つ奴等をこうしてその場に留まらざるを得ない状況を作り、他は数で押し潰して擦り減らして行く…現に少しずつだが戦況は魔物側へと傾いて行ってやがる
傷付き倒れかけている奴も居る。それでも何とか踏ん張っちゃいるが…このままじゃ遣られるのも時間の問題だ。それなら魔法を使う事を制限されているイザベラが周りの奴等の援護に回った方が良い
「俺が自分殺して助太刀してやってんだ!なのに無駄骨だったなんて事ぁ赦さねぇっ!!」
「…ッ…!」
「救いてぇんだろ!?此処を!此処に居る奴等を!なら救って見せろや!!俺に見せてみろ!!」
俺の発破が効いたのか、イザベラの顔付きが変わる。返答代わりに強く頷いてイザベラは背を向け走り出した
…これで戦況が幾らかでも変わりゃ良いんだがな。周辺に大量に居る魔物共をイザベラが消し飛ばしてくれる事を祈るしかねぇ
さて……あいつにあれだけの啖呵を切っといて俺が不甲斐ねぇ所を見せる訳には行かねぇよな。打開策は全く思い付かねぇままだがやるしかねぇ
「…ねぇ、カーズ」
「…あ?」
「魔物を斬り裂いた時、感触は有った?」
「殆どねぇよ。だったら何だってんだ?」
「……やっぱり変よ。私が顎を打ち抜いた時は確かに感触が有ったもの」
……そうだ。こいつは打ち抜いた後〝硬い〟と言ってやがった。確かな感触をその拳に残してた
どういう事だ…?いや、その前にもこいつの一撃に対してあの魔物は回避を取った。本当に剣が効かねぇならそんな行動を取る必要なんか無かった筈だ……何か絡繰が有るって事か
つまりそれを見極める事が出来れば……
「貴重な情報ありがとうよ。お陰で殺る気が湧いてきたぜ」
「…闘いながら試して行くしか無いわね。あの魔物に有効な攻撃を」




