十七
唯と隣り合って歩く。歩くのを早められるかと思ったが、それはせずに何も言わずに…ただ顔は合わせないで二人で歩いている
…こんな時、どうやって謝ったら良いんだろう。素直にごめんって言うのがベストなのか?気の利いた事なんて言える訳も無いし格好付かないし、それが一番良い
「唯」
「…何だい」
「……俺はさ、早く強くなりたい。強くなって皆と早く肩を並べたい、弱いと何も護れないんだってダイオン城の一件で身を以て味わった」
「……………」
「だから毎日この大剣を振ってた。早く強くなれるようにって、皆を護れるようにって…唯からしたら烏滸がましい事だって思うかもしれないけど」
「……そんな事思わないよ」
会話に集中して歩く速度が遅くなっていく。そのままどんどん遅くなっていき…ぴたりと唯が立ち止まった
同じように俺も立ち止まり、唯の前で頭を下げる
「…ごめん!俺の事を思って怒ったり、身体を張ってくれたのにそれを無碍にするような事言ったりして…!」
「…私も…悪かった」
頭を下げ合い、顔を上げると目が合うーーー何とも言えないぎこちのない笑顔でお互いを見ていると、唯が咳払いをして指を立てた
「一つ約束しようか。この約束を守ってくれるのならば私は君の特訓に対して止めろとは言ったりしない」
「約束?」
「うん。戦闘以外で剣を振るーーー…昨日や朝にやっている特訓の事だね。それが終わったら私に治癒魔法を掛けさせて欲しい」
「……傷を負っていないのに?」
「昨日見た掌なんか傷だらけだったじゃないか。それだけじゃない、精神的な疲労は取れなくても、肉体的な疲労は回復出来るだろう?」
「…分かった。ていうか、駄目って言ってもそうするんでしょ?」
「私の事分かって来たね。君が駄目だと言ってもするなら私もそうする。お互いの譲れない部分を解消出来る良い案だと思うが」
そう言って唯は俺に手を差し出してきた。え?もう早速治癒すんの?
「握手」
「え?」
「仲直りの握手」
「あ、ああ」
合点がいき差し出された手を取った…んだけど、慣れていない所為と緊張した所為で普通の握手では無く親指を掴んでしまって何だか仲直りではなく友情の握手のようになってしまった
その握手を見て唯は吹き出して笑う。その笑顔はさっきのぎこちない笑いでは無く、自然な…凄く柔らかい笑顔だった
……………………。
「ふふっ、これでは何だか友情でも確かめているように見えてしまうね…………零也?」
「いや別に?めっちゃ可愛いなぁとしか思いませんでしたけど?」
「……あの、あんまりそう言う事を言わなくて良いから…照れるから……」




