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6日目 0時から1時 魔王襲来(3)

「アキラ様!! アキラ様、しっかりしてください」

「っ!!?」


 エリノスの声に現実に引き戻された。

 目の前では兵士に騎士、魔導士たちが魔王と激しい戦いを繰り広げている。そういえば聞こえがいいかもしれないが、実際には人間側の猛攻を魔王が涼しい顔をして捌いているに過ぎない。

 それでも手数だけは多く反撃の隙を与えていないため、どうにか拮抗しているように見えるのだ。それも時間の問題だと思う。


「どうすればいい」

「……避難しますか」


 ルセオン戦で逃げることを提案した俺を冷たい目で見ていたエリノスからの言葉にはっとなった。勝てないなら逃げればいい。最終的に魔王を倒すことが目的なのだ。いま、無理をしてここで戦う必要はない。


「転移結晶があるのか」

「もちろんです。一度城に戻った後に持って追いかけてきましたので」

「そうか」


 俺は一度口をつぐんだ。

 黒騎士と戦って半日しか経っていないというのに、魔王は俺の元に現れた。どのようにして情報を得たのか、どうやってここまで来たのかはわからない。でも、逃げきれるとも思えなかった。


 だからといって、あんな化け物と戦うのか?


 慣れない徒手空拳とはいえ俺の出せる最高速で繰り出した拳だった。それをやすやすと受け止め反撃してきた魔王。倒せるイメージがわかないのだ。

 


「でも、やるしかないよな」


 今にして思えば、呪の症状を緩和させる薬を飲んだのが悔やまれる。悪く言えばただの破壊衝動に過ぎないものでも、いま俺には必要だった。決して勝てないだろう相手を前に、立ち上がるための闘争心というものが湧いてこないのだ。

 唯一の利点は冷静に状況を見れることくらいか。

 素手の攻撃が通じないなら魔法しかない。ただ、どれだけ威力があっても当たらなければならないし、高威力の魔法を放つなら集中する時間が必要になる。



「アキラ様?」

「魔王を結界で封じ込めることはできるか?」

「封印ですか」

「いや、そこまでは期待していない。物理結界で覆ってくれ。物理結界なら魔法も物理攻撃もあらゆるものを防げるんだろう」

「ええ、そうですけど、魔王にどこまで通じるか」

「最硬度の結界を展開しても魔王の攻撃を一度も防ぎきれないか?」

「そ、そんなことはないと思いますが、正直見当もつきません。でも、いくら魔王でも通常の攻撃で私の結界を破ることはできないと思います」

「魔王でも力は込めるなり、魔法を唱えるなら時間は必要なんだろ」

「ええ」

「ならそれでいい。エリノスが奴を封じている間に、俺も全力で魔法を練り上げる。協力してくれ」

「……アキラ様、それは私のセリフです」


 こんな場面でありながらエリノスは笑顔を見せると魔法の詠唱を始めた。それに合わせて俺も魔力をかき集める。


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