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5日目 15時から16時 改めて『幽遠の尖塔』へ

 エンブルームに戻るとミーシャの治療を試みるチームと、引き続き『幽遠の尖塔』を目指すチームに分かれて再出発した。

 移動中はやることがないので、引き続き素振りをしている。

 剣術スキルの熟練度は6まで上がっているが、黒騎士を切ることはできなかった。魔法を併用することで切断力は増すが、基礎を底上げしていて損はないだろう。

 魔法の使用を避けたいという気持ちもある。


「私も何かした方がいいのかな」

「好きにしたらいい」

「ともに戦う仲間なんですから、そんないい方しなくても」

「いえ、アキラさんの言う通りですね。鍛えたいと思えば鍛えればいい。それだけの話ですよね」

「まあ、それはそうですが……でも、突然どうされたんですか」

「うーん。レベル上げをするアキラさんのサポートとして受けた話ですけど、いまのままでは足手まといにしかならないかなって。だって、龍種に挑む可能性もあるんですよね」

「そんなつもりはありませんよ」

「ん? そうなのか? 龍種と戦うまでに魔王と戦える最低ラインのレベル70を超えれば必要ないかもしれないが、魔王と戦う前哨戦として龍種に挑むのもありだろう」

「いえいえいえ、ダンジョン内の龍種でも下手したら魔王より強いかもしれないんですよ。前哨戦何て軽いものじゃありませんよ」

「戦うから龍種の話をしたんじゃなかったのか」

「違います。あくまで『幽遠の尖塔』には強い魔物がいっぱいいると言いたかっただけですよ。レベル上げのつもりで死んだら元も子もないです」

「俺も死ぬつもりはさらさらないが、龍種との戦闘は離脱不可能なのか?」

「それはありませんが、ブレス一発で死ぬ可能性もあるんですから」

「そうよね。やっぱり私も少し鍛えようかな」


 立ち上がったセシルは弓を片手に馬車の戸を開けた。弓を構えて魔力で生み出した矢を空に向かって射った。きれいな弧を描いて落ちてくる矢を、続けざまに放った矢がきれいに捉えて爆散する。曲芸じみた弓の技術に思わず素振りの手が止まる。


「すごいな」

「んー。でも、こういうのって戦闘じゃいまいち役に立たないのよね」

「そんなもんか」

「ええ」

「セシルの場合は俺と違って基礎は仕上がっているわけだろ。弓も素人だからよくわからんが、早打ち、あるいは炎や雷といった魔法の付与、もしくは矢がカーブルするとか、回転させて貫通力を上げる。ほかにワザと直撃をさけて矢羽根を刃物のようにして斬るとかいうのはどうだろう」

「刃物ね。その発想はなかったわね」


 セシルがぶつぶつとつぶやきながら魔力の矢を具現化しながら、形状を整えている。


「アキラ様。私にも何かアドバイスはありませんか」

「エリノスは神官だろ。俺にできるアドバイスなんかないよ」

「そ、そんなぁー。セシルさんだけずるいです」

「ずるいってなんだよ」

「だ、だって。私も一緒に戦う仲間なんですから」


 口を膨らませてエリノスが何を言っているのかさっぱりわからないので、俺は彼女を無視するようにして素振りに戻るのだった。

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