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4日目 15時から16時 ギガートン(5)

 額を汗が伝う。

 火の魔法を使った影響で温度が上がったせいじゃないことくらいはすぐにわかった。これは脂汗だ。自分のしたことに対して戦慄した。


「さすがはアキラ様です。ギガートンを単独で討伐するなんて驚きです」

「いやいや、エリノス。いくら何でもここはツッコんでくれ」

「ツッコむ?」


 小首を傾げて頬に手を当てる姿は可愛らしいが、そういう問題じゃないだろう。どう考えでもこれはやり過ぎだ。


「いや、まあ、それはいいとして、俺の火魔法の熟練度3だぞ。この威力はおかしいだろ」

「それは……勇者様ですし」


 どんな暴論だよ。と突っ込みたいところをぐっと堪える。勇者であるがゆえにステータスが一般人を超えているとはいるわけで、一概に否定はできない。それでもなぁと思う。

 イーナに教わった魔法講座によれば、どれだけ魔力があっても、練度が低ければ一定以上の威力の魔法を使うことができないらしい。練度とはつまるところ暴走させずにコントロールできる魔力量の指標と考えていいらしい。

 馬車の中でずっと火の玉ジャグリングをやっていたおかげで練度が上がったということか。


「だとしても、やり過ぎだろ」


 煙が晴れてようやく全貌が見えれば、あたり一面焦土と化している。範囲としては中学校の運動場くらいか? それも魔法に対する妨害がある中での話だ。


「魔法への妨害はどうなったんだ」

「――消えています」

「それは俺が魔法を使うときには消えていたってこと」

「いえ、おそらくですが、先ほどの炎撃で同時に焼き尽くしたのではないかと……」

「妨害を受けていてあの威力ということか」


 一日も早く帰りたいわけで成長が早いのは嬉しい。嬉しいけども、これほどの力を俺は制御することができるのだろうか。一緒に戦うエリノスを巻き込まずにいられるのか。いや、あるいはすでに。


「この辺にほかの冒険者がいた可能性はあると思うか」

「……おそらくいなかったかと」


 エリノスが自信なさげにうなずいた。

 確信がないからと安易な言葉を口にしないのはエリノスのいいところだ。ギガートンですら原型をとどめないほどに炭化している状況で、この場に人がいたとして果たして痕跡が残っているものだろうか。


「済まないが、鎧や剣、冒険者の痕跡がないか一緒に探してもらえるか」

「はい」


 俺とエリノスは焦土と化した大地をゆっくりと歩いて回った。そこに金属製の何かが落ちていた形跡は見当たらなかった。だが、それが、この場に人がいなかった証拠として十分とは言えなかった。

 

 寒気がした。

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