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4日目 15時から16時 ギガートン(4)

 ギガートンの攻撃を躱しながら好機を探る。

 二度目の斬撃はギガートンに届いた。タイミングさえ間違わなければ十分に倒しうるということ。しかし、問題が一つ。俺やエリノスへ影響を及ぼした魔法へのジャミングが、ギガートンに掛けていた弱体化の魔法の効果を消し去ってしまったらしい。


「くっ」


 避けきれずにギガートンの足が掠めただけで、軽い脳震とうを覚えるほどの衝撃が全身を打った。よろけた体にギガートンの足踏みが襲い掛かる。

 俺の体の前方で光が明滅したかと思うと、不可視のバリアがギガートンの足を一瞬支えた。だが、初めは何度も突進を防いでいた結界もただの一度でガラスが割れるように粉砕される。エリノスの防御結界が稼いでくれた僅かな時間を無駄にすることなく立ち上がり回避行動に出る。


「助かった」


 手負いとは思えない俊敏な動きに辟易としながら、今の攻防を改めて考える。威力が格段に落ちるわけだが、魔法が使えなくなったわけじゃない。

 魔力を注げるだけ注げばギガートンの体を焼き尽くすことも可能かもしれない。

 魔力の残量からして一度が限界。それでダメなら身体強化も使えなくなるというハイリスクな方法。まだ、姿を見せない新手もいるというのにである。


「エリノス、ほかの敵の存在はわかるか?」

「すみません。索敵は得意じゃなくて……」

「いや、気にするな」


 仕事上でいつもやっていたことを思い出せ。問題にぶつかったとき原因がつかめなくても、わかるところから一つずつ解決していくしかないのだ。いまは見えない敵を気にしているときではない。


 攻撃を回避しながら、掌の先に魔力を全力で注ぎこむ。

 火力も当然最大。分厚い皮膚に覆われたギガートンの体内を蒸し焼きにしてしまえるように。鉄製の剣を曲げてしまった時のことを思い出せ。

 鉄の融点は1500度前後。例え魔物でも、そんな炎に耐えられるとは思えない。


「今度こそ、燃え尽きろ!! ファイアボール」


 ――!!

 掌から生まれた火炎がまるでドラゴンのようにうねり声を上げながらギガートンの体を飲み込んだ。ごっそりと抜け落ちる魔力の感覚に、膝が抜け落ちる。

 炎はギガートンを蹂躙するにとどまらず、周囲の木々に燃え移り林を焼き尽くす。一瞬で生木が炭化し、水蒸気と煙で辺り一面を真白に染めた。


「エリノス」

「コホッ、コホッ、ここです」


 とりあえず彼女の無事を確認しつつ、ギガートンの動きを探った。これほどの高火力にさらされて生きているとは思えないし、思いたくもない。魔力が限界なのは間違いない。

 

 ゆっくりと時間が過ぎるのを待った。

 空気が流れて煙が晴れていく。

 その先の光景をみて愕然とした。


 戦争映画で焼夷弾を落とされたあとのように、地面が煤で真っ黒に染まり炭化した木が辛うじて数本立っている程度。その中心には酷く焼けただれたギガートンのものと思わしき塊が残っていた。 

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