4日目 12時から13時 セーデガー
街で買った昼食を食べながら馬車に揺られること一時間、セーデガーのダンジョンについた。
「ここなのか?」
「ここですよ」
軽い疑問を覚えて聞けば、そのまま答えが返ってくる。ダンジョンとはいったけども馬車が走ってきたところと同じような草原と林が目の前には広がっていた。
「フィールド型のダンジョンとは言いましたが、正確にはフィールドがダンジョン化したものですね」
「つまり、あそこの門をくぐればダンジョンってことか?」
「そうなります」
草原が続いているとは言ったが、より正確に言うとダンジョンの前は宿屋や鍛冶屋といったものが集まり、小さな町のようになっている。その街の出入口を示すような木製の粗雑な門がどんとあるけども、それがダンジョンの入り口ということらしい。
「まあ、そういうことなら向かってみるか」
「はい。中に入れば空気の変質がわかると思います。境界近くで魔物と遭遇することは少ないですが、お気を付けください」
装備を整えエリノスとともに門をくぐる。まとわりつくような空気が一瞬肌を撫でた。振り返れば普通に街が見えているのが不思議でならないが、ダンジョンに入ったのだということが分かった。油断なく周囲を警戒しながら前に進む。
「そもそもダンジョンというのは何なのだ?」
「いまの私たちの生活には欠かせないものとなった魔石を採掘する場所でしょうか」
「それはつまり鉄鉱山や銀鉱山と同じようなくくりということか?」
「そうですね。魔石鉱山や魔石坑道なんて言い方をすることもあるくらいですから。学術的に言うと、魔力だまりというようなエーテル濃度が異常に濃くなると、そこを中心にダンジョンが生まれるそうです」
「ん、それだと、俺の使った魔法は不味くはないのか」
「あの程度では問題ありませんよ。あれは大気中にあるエーテルを一時的に集めているだけなのでしょう。魔力だまりはそこがエーテルの発生源となるのです」
「魔力だまりを消したらダンジョンも消滅するのか」
「そうですね。魔石が人々に有益といっても、ダンジョンが人々にとって脅威であることに違いはありませんので消滅できればいいのですが、エーテル濃度が濃すぎて中心部には人は立ち寄れないのです」
「近づいたらどうなるんだ」
「呪いを受けます」
「それは魔力回復薬を飲んだときと同じような」
「もっとひどいです。その場で人が魔物化すると言われています」
「おっかないな」
「近づかなければ大丈夫ですよ。基本的にダンジョンの中心部はわかっていますので、立て札などで警告してあります。まあ、一部の冒険者のなかにはそれを超えるものもいるようですけどね」
敢えてそんな危険に飛び込む連中の気が知れないが、それ相応のリターンがあるということなのだろう。そんな話をしながら歩いているとようやく最初の魔物に遭遇した。
「オークのようですね。全部で4体、武器も持っていますのでお気をつけてください」
「あれがオークなのか」
豚の頭をした二足歩行の生き物。それぞれ片刃の湾曲した剣を持っている。知能の欠片もないような禍々しい目をらんらんと輝かせて俺たちに向かって走ってきた。エリノスはすぐさま結界を張って自分の身を守る。
俺は剣を抜きオークの群れに向かい合った。
。エーテル濃度の異常に濃い場所




