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3日目 19時から20時 魔力回復方法3

「ごちそうさまでした」

「いえ、お粗末さまです」

「ふふ、まさか移動中の馬車の中でこんな立派な食事がとれるとは思いませんでしたよ」


 侍女たちの回復を待って夕食を取った俺たち。セシルが言う通り、馬車の中とは思えないちゃんとした食事だった。出発したときの馬車にはもっとたくさんの設備や食材が乗っていたのだが、ルセオン戦で大部分を失っていた。

 それでも、魔石を利用したコンロや冷蔵庫といったものもあり、きちんと調理されたものが出てくるのはありがたい。


「飯も食べたことだし、腹ごなしにさっきの続きをやってみますか」

「はへ? あれで終わりじゃなかったのですか」

「そうそう、随分と恐ろしい魔法を創り上げていたと思いますけど」

「あれはタダの準備だよ」


 風魔法で空気中の成分を操作することができることはわかったが、本番はここからだ。果たして魔素が酸素や窒素と同じような物質として存在しているのか。

 魔石が魔力が結晶化したものというのであれば、魔力の元が物理的に存在すると仮定するのは間違いではないだろう。

 ダメで元々の話なので気負わずに行こうと思うが、侍女たちが一斉に壁際の方に移動したのはいかがなものか。


「今度は危険はないと思うが、一応説明しておくと。呼吸で魔力が回復するというのなら、魔力の元となるものが空気中に漂っていると仮定している」

「そうですね。エーテルは世界のそこかしこにあると言われています」

「なるほど、ちゃんと名前もついていたんだな。で、そのエーテルが空気中にあるとして、その濃度を高めることができれば一度の呼吸で体内に入ってくるエーテルも必然的に増えるだろう。つまりは魔力の回復を早めることができるんじゃないかと思う」

「!!!? そんなことを考えていたのですか」

「魔力を回復できなきゃ訓練もできないしな」

「え? 訓練のためなの」


 セシルが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているが、さっきから俺はそういう話をしていたと思うのだが、聞いていなかったのだろうか。悲しくなってくるが、俺の意図が伝わらないことなんて会社じゃよくあることだったと割り切ることにしよう。


「ま、そういうことだ。うまくいく保証はないが、とにかくさっきみたいな危険はないと思うが、隣の馬車に移っていたほうがいいのかもしれない」


 と、俺の発言を受けてセシルの侍女が移動を開始した。

 大丈夫だと言ってるんだけどなぁ。一度失った信用は中々取り戻せないらしい。一緒に逃げましょうと諭してくる侍女の言葉を振り切ってエリノスが残ってくれたのは嬉しいやらなにやら。もちろん、セシルも残ってくれた。彼女は魔力の回復速度を図るために、一度大量の魔力を吐き出してもらった。


「驟雨」


 空に向かってセシルが矢を放つを一本だった矢が多数に分裂し、ある高さまで上がると地上に向かって無数の矢が降り注いでいた。


「やり過ぎだろ」


 小さな村ならこの技一つで壊滅にできるんじゃないか? そんな威力である。10日に一度しか使えないスキルだからこそルセオンの胸を穿ったのかと思ったけど、セシルの基本スペックがそもそも桁違いなんじゃないかと思う。味方でよかったと心底思う。


「これって普通レベルじゃないよな」

「で、ですね……」

「でも私の魔力のほとんどすっからかんになってしまいますし、下手したら味方も巻き添えにするんで使いにくいんですよねー」

「いや、そういう問題なのか……まあいい。と、とりあえず、魔法の実験と行こうか」


 セシルのトンデモないスキルに驚愕させられたが、俺の創造した魔法『エーテル・ギャザリング』はかなりの効果を発揮した。


 森に向かってスキル『驟雨』というもので大量の矢を空から撃ち落とす全体範囲攻撃を使ってもらったのだ。

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