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3日目 17時から18時 魔力回復方法

 並列思考なるスキルを手に入れると、訓練はさらなる飛躍を見せた。剣を振り回しながら、魔法を展開するというような無茶苦茶なこともできるのだ。単純に時間が倍になったと考えてもいい。

 ただ思考加速がそうであるように、並列思考も魔力の消費量が多すぎる。


「魔力を増やす方法っていうのはあるのか」

「そうですね。レベルの上昇とともに上がっていきますが、魔力に関しては生まれついた素養がものをいうところが大きいのです」

「鍛えようがないということか……」


 それは問題だなと思う。

 身体強化に並列思考、思考加速は戦闘中においてかなり多用するスキルだと思う。それをよりよく使うためにはスキルの練度も上げておきたいところだが、それにも結局のところ魔力を消費していたら成長するものも成長しないわけだ。


「増やすことは難しいですが、回復する手段ならありますよ」

「セシルさんそれは……」


 セシルの発言に対してエリノスが首を振る。ゲームなんかにあるような魔力回復薬ではないのだろう。そういえばポーションみたいなものもあるという話を聞いていない。だとしたら、真っ当な方法じゃないのかもしれない。


「一応聞かせてくれるか」

「ダメです。その方法は副作用が大きすぎます。それはセシルさんのほうがよくわかっているのではないですか」

「……そうですね。すみません、忘れてください」

「そこまで聞かされたら忘れられないだろ。副作用も含めて教えてくれ」


 いくら効果があっても覚せい剤みたいなものに手を出す気はないが、生存の可能性をわずかでも上げるのなら知っておいて損はないだろう。


「そうですか一応ご説明しますが、本当に使わないでください。魔物から取れる魔石ですが、あれはいうなれば魔力が結晶化したものなのです。魔石を利用して魔道具を運用したり、魔法陣を使った術式の展開に利用しています。ただ、魔石に含まれているのは純然たる魔力だけではないんです」

「それが副作用を齎すと」

「はい。高濃度のアルコールに魔石を入れると、融けて薄い黄色の液体に変化します。その液体を飲むと魔力は回復するのですが、不浄なる力の一端も身体に入ってくるのです。我々はそれを呪いと呼んでいます」

「呪いか……どういう作用があるんだ」

「凶暴性の獲得、自我の喪失、最終的には魔物と化すと言われています」

「それを防ぐ方法はないのか」

「いまのところ見つかっていません。魔石を溶かした液体から、不浄なる力の成分を抜き出す研究は行われているのですが、残念ながら実を結んでいません」

「その副作用っていうのは、一回使用するだけで出てきてしまうものなのか」

「人によるとしか言えないのです。確かに一度や二度の使用で凶暴になったという話は聞きません。ですが、何回の使用まで耐えられるかという保証はないのです」


 となると、本格的に死ぬかどうかの場面以外では使えないか。


「一応、用意だけはしておけるか」

「アキラ様」

「念のためさ」

「申し訳ありませんが、軍でも禁止しているものですので手に入れるのは無理です」

「セシルさんは?」

「それは……」


 セシルがエリノスを見ると、彼女が首を振った。


「ダメだそうです」

「そうか、何か方法はないのかな。ちなみに普段魔力はどうやって回復しているんだ」

「魔力の元となるものが大気の中に含まれていますので、呼吸をしているだけで回復していきます」


 それで時間とともに回復するのか。液体として摂取できるし、空気として取り込むこともできる魔力とはこれ如何に。魔法のある世界にツッコミを入れるのは無粋というものか。

 だが、そうか。空気中に含まれるのか。

 それは酸素や窒素のように成分として魔力の元――便宜上、魔素と呼ぶことにする――というようなものがあるということか。


「なるほど、次の訓練内容が決まったな」


 思わず俺はにやりと笑って見せた。


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