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3日目 8時から9時 再出発

 朝食を終えた俺たちはさっそく『幽遠の尖塔』に向けて出発した。セシルはエンブルームまでは同行するが、そこでいったん離れて再び合流するという流れになる。それでも一日遅れくらいで合流できるそうだ。


「やっぱり王家の馬車というのはすごいですね。乗合馬車とは全然違うと言いますか、驚くほど広いですね」

「ここで眠ることもできるように最大級の馬車を用意していますので」

「眠る? 王族の方が馬車で眠られるのですか」

「いえいえ、そういう目的の馬車というわけではありませんがアキラ様たっての希望でしたので」

「寝てる間も馬車を走らせることができれば、それだけ早く目的地に着くだろ。そういうことだ」

「な、なるほどー。それであの日はすべての馬を接収しようとされたのですね」

「悪かったな。迷惑をかけて」

「いえいえ、結果的に私は馬を融通してもらえたわけですから」


 馬車は順調に街道を走っている。

 時々、魔物に遭遇することもあるようだが、遠くから魔法で一掃しているらしい。ルセオンの一撃で馬車自体の損傷もあり、無事だったのは三台だけとなっていた。ついてきている兵の数を考えれば、それでも多いくらいだろう。移動を優先させたために、結局同行が可能な人員は16名と出発時点からすれば三分の一程度にまで減っている。

 

「エリノス。このまま馬車に揺れているというのも、無駄だろうから神聖術について改めて教えてもらってもいいか」

「もちろんです。ですが、その前にステータスを確認しませんか。成長酔いもあったと聞いていますし、かなりレベルも上がったのではありませんか」

「そうだな、よし。ちょっと確認しよう」


 荷物の中からステータス結晶を取り出して手をかざす。


名前:アキラ=オクムラ

レベル:21

称号:勇者、愛妻家、親バカ、社畜、ストイック、訓練バカ、現実主義

物理攻撃力:3041(+900)

魔法攻撃力:2976(+870)

物理防御力:2788(+810)

魔法防御力:2547(+750)

敏捷性:2628(+780)

スキル:言語理解5、成長補正10、親和性3、忍耐4、剣術3、体術3、回避3、火魔法3、水魔法2、風魔法3、光魔法1、毒耐性2、麻痺耐性2、混乱耐性2、精神耐性6、身体強化3、魔力操作2、付与2、神聖術2、裂破2、思考加速1、


「レベルが異常に上がってるな。それにスキルもほとんど使ってないわりに上がっているし、知らないスキルが増えてるな。『思考加速』はまあ想像つくとして『裂破』ってのは何だ?」

「レベルの上昇に関してはそれだけルセオンのレベルが高かったということでしょう。成長補正10が効いているのだとは思いますが、それにしてもすでにレベル21とは驚きです。各ステータスもすでに騎士クラスに届いているようです。それからスキルは訓練することで練度はあがりますが、ほかにもレベルとともに上昇したりしますね。『裂破』は奥義スキルの一種になります。剣術の発展形と考ええればいいかと」

「へぇ、奥義か。どういう力があるんだ」

「斬撃による切断力が格段に跳ね上がります。予想ですがアキラ様はグレートボアを倒した時点でこのスキルを入手していたのではないでしょうか。ルセオンはかなりの強敵でした。アキラ様のステータスは人並み以上とはいえ、あの時点の攻撃力ではルセオンの皮膚を切ることも厳しかったと思いますので」

「綱渡りだったということか」

「いえ、ここぞというときに的確な判断を下せるというのがアキラ様の力だと思います。あの瞬間、確信していたのではありませんか」


 言われてドキっとした。確かに根拠のない確信があったのだ。だからこそ、踏み込んだともいえる。だけど、ギャンブルだったのは間違いないということか。


「ま、それをいまさら考えてもしょうがないな。ただ、気になるのは『裂破』を使おうとしたわけじゃないってことなんだが、そんなでも奥義は使えるものなのか」

「偶然の可能性は高いです。スキルを習得してすぐに自在に操るのは難しいものなのです。その辺はセシルさんの方が詳しいのでは」

「えっと、そうですね。私も『破絶』をコントロールするまでには1年くらいかかりましたっけ。ここぞっていうときに使いたいのに、全然使えなくて苦労しました」

「一年……」

「ああ、いえ、その辺は人によると思います。私の場合はそもそも10日に1度しか発動しない類のスキルですし、そんなに才能のある狩人というわけでもないですから」

「何かコツとかあるのか」

「コツですか、うーん。少なくとも一度は発動しているのですからその時の感覚を思い出しながらひたすら練習するしかないと思います」


 あの時の感覚か。

 右手で剣の柄を握り、開いたり閉じたりしながら感覚を思い出す。そして二人から距離を取って馬車の中で剣を振りぬいた。だが、何も起きない。


「まあ、そんな簡単にはいかないよな」


 俺はひたすら剣を振り続けるのだった。

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