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3日目 7時から8時 パーティメンバー

 三日目の朝、エリノスが再び合流した。

 王城に転移した後、すぐさま俺たちのいる街に向かって早馬を走らせたそうだ。もちろん、王女様お一人ということはなく複数の護衛も一緒だった。

 しかし、彼らはエリノスの護衛であり勇者のパーティメンバーではない。全部で30人ほどの一稿だったのが、いまは半数以下である。ましてや俺とともにダンジョンに挑む予定のメンバーがエリノスしか残っていなかった。

 エリノスも最後に見たときは軽蔑しているような目をしていたはずなのに、戻ってくると前と同じに戻っていた。そんな彼女が説得を試みている。


「イーナさん、考え直してくれませんか」

「無理。絶対無理です。例え王命と言われても今度ばかりは無理です」

「お気持ちはわかりますが、代わりが派遣されるまで協力してくれませんか」

「代わりっていつですか。本当に派遣される保証なんてないじゃないですか」

「大丈夫ですよ。私が王女として派遣するようにお願いしているんですから」

「王女様の依頼ならいつもなら通ると思いますよ。でも、いまの王都に勇者とともに戦おうという人なんているわけないです。大体ボクが嫌なんですよ、こんな人」


 俺の悪評がすでに末端まで行き渡っているらしいが、ここまで嫌われるのはちょっときつい。間違ったことをしたつもりはないが、それを理解してもらうのは無理だろう。


「説得は難しいと思う」


 俺が頭を下げたことで生き残った者たちは辛うじて同行を了承してくれていた。ただし、一緒に戦うということに関しては首を縦に振らなかった。国の命令として”勇者”を目的地まで護衛することは飲み込めても、信用できない俺に背中を預けてともに戦うということはできないということのようだ。


「ですがアキラ様。私は回復や結界術、多少の護身術は使えますが、戦闘面ではあまりお役に立てません。剣士の神官の二人ではパーティとして成り立たないと思うのです。せめて後衛が一人いれば、前衛で戦うアキラ様のサポートができると思うのです」

「後衛か……それは弓使いでも成立するのか?」

「それはそうですが、弓使いに心当たりが?」

「セシルさんに頼めないかなって」

「セシル? それはどこの馬のホ……いや、どなたでしょうか?」


 いま、確実に馬の骨と言おうとした気がする。なんでそんなに怒っているような顔をしているのか腑に落ちないが、そういえばセシルについて話してなかったことを思い出す。ああ、知らない人の話をしたからちょっとイライラしてしまったのかと、反省して彼女の功績を含めて説明した。


「なるほど、あの時の矢は彼女が……しかし、話を聞く限りでは急ぎの用があるのではないでしょうか」

「かもしれないけど、聞くのはタダだからな」


 昨日会った感触からいえば、悪い印象は一つもなかった。自分の功績に対して謙虚な姿勢なところであったり、俺に対して含みがなかったのが大きい。ルドア達の軽蔑の視線にさらされているなかでは唯一の救いにすら感じていた。

 そんなわけで、宿で朝食をとっていたセシルに話を振ってみた。


「魔王討伐ですか!?」

「いやいや、そんな危険なことは頼まないよ。出来れば『幽遠の尖塔』でのレベル上げに協力してほしいだけなんだ。もちろん、急ぎの用があることはわかっているから、そのあとで構わないんだが、難しいだろうか?」

「用事は時間のかかるものではないので問題ないですけど私なんかで大丈夫ですか。狩人なので弓の扱いには慣れてますけど、冒険者の方々のような戦いのエキスパートというわけじゃないです」

「それはどういう?」

「えっとですね、基本的に狩るときは環境を整えて獲物が来るのを待つんです。魔物と真っ向から戦うことはあまりしません。出来なくはないですが、得意かと言われると違いますね」

「直接戦闘は俺が受け持つので、セシルさんには相手の動きの牽制なんかをやってもらえばと思ってます。危険な目に遭わせるつもりはないですし、そういう時は逃げても問題ないです」

「そうですか……うーん」

「正直人手が足りていないのです。セシルさんほどの腕の持ち主であれば、いうことは何もありません。もちろん、報酬はしっかり出しますのでご協力いただけないでしょうか」

「そうですね。うん。王女様にそこまで言われたら断れないです」

「イヤイヤというのなら」

「そんなことないです。すみません、言い方が悪かったですね。喜んでお手伝いさせてもらいます」

「ありがとう。こちらこそよろしくお願いします」


 そういって、俺はセシルと握手を交わしたのだった。

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