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2日目 11時から12時 幹部襲来(1)

 先に感じたのは耳に劈く爆音か、体を吹き飛ばした衝撃だったか、気がついた時には俺の体は天井に転がっていた。衝撃に痛む体を無理やり起こすのと、近くにいたエリノスが俺に向かって治癒魔法を使うのがほとんど同時だった。


「無事だったか」

「はい。アキラ様も無事で何よりです」


 頭を打ったのか軽いめまいが起きていたくらいで怪我は大したことなかった。それもすぐに回復した。エリノスとともに外に飛び出してみれば、景色は一変していた。

 俺たち一行を乗せた馬車は数台連なって街道を走っていたのだが、それらの中心に巨大なクレーターが生まれていた。クレーターを作るほどの爆発が、衝撃波を生み出し周囲の馬車や草木を軒並みなぎ倒したようだ。


「アキラ様。私のそばを離れないでください」

「あ、ああ」


 エリノスはすぐさま俺の周囲に防御結界を張りめぐらせた。さっきのような不意打ちでなければ防げるということだろう。エリノスをはじめ、俺のレベルアップについてきた連中は俺とは比較にならない高レベルである。

 そんな彼らが守っていながら奇襲を許したということから襲撃者の格が予想できるというものだ。


「ふははははははーー、面白い。面白いぞ、矮小なる人間にしてはやるではないか。我がメテオストライクを受けておきながら、ここまで被害を食い止めるか」


 爆心地の上空からいかにも悪魔らしい人影が降りてきた。厳つく赤い顔に大きな角が二本、筋骨隆々とした上半身をはだけさせ、背中からは漆黒の翼が広がっている。ズボンを履いているが見えている足の形が人のそれとは明らかに異なっている。おそらくは牛かなにかの蹄があった。


「魔物風情が人を見下ろすなど笑止千万、いつまでも高みにいられると思うな!!。『雷迎』」


 部隊の指揮を執っているのは騎士団副団長のボーグらしい。彼が叫び、自身の槍を地面に突き立てると、青天の空に雷鳴が轟いた。ボーグの槍に雷が落ちる、上空に浮いている魔物を貫きながら。

 だが、


「かか、効かぬ。効かぬ。効かわ。雷がどういうものか教えてやろう。『サンダーストーム』」


 ボーグが呼び込んだ雷が一本なのに対して、魔物が放った雷は十を超える。格の違いを見せつけられたところだが、それらの雷は魔導士が放った何かに阻まれ霧散した。


「ちょございな!! だが、戦いとはこうでなくては面白くないわ。それで勇者とやらはどいつだ。雷を呼んだ槍術士か、あるいは雷を防いだ魔導士か」

「ここに勇者がいるなどと誰に言われた間抜けめ」

「愚かな。魔王様の言葉に間違いなどあるわけがなかろう。魔王様が勇者を亡き者にしろと四天王が一人、このルセオンを遣わしたのた。我に殺されることを冥途の土産にするといい。ふはははは」


 四天王ルセオンの高笑いが響き渡る。

 さすがにそれほどの大物が来たとは思ってなかったのか、騎士も魔導士も次の一手を打たずに沈黙してしまった。まあ、気持ちはわかる。さっさと魔王を倒して嫁のもとに帰りたかったが、召喚二日目で中ボスっていうのは想定外だ。

 入社二日目の新入社員に、いきなり大口の取引を誰が任せるかという話だ。

 

「エリノス。この結界の中なら安全なのか?」

「……」

 

 絶望的な目で首を振らないでほしい。

 マジか。

 マジで詰みなのか?

 冗談じゃねえぞ、畜生が!!

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