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魔王が紡ぐ神話譚  作者: 神徒狐
第一章  魔王編
2/3

序話 異世界

「・・・・あー・・・またこの夢か。一体なんだっての」

  


溜息と共に寝起きでうまく開かない目を擦っていると、ある異変に気付いた。



「風?寝るとき窓開けてたっけ?それにやたらと明・・る・・・い?」



ようやく開いた目の前には、どこまでも広く澄んだ青空が広がっていた。



「俺の部屋じゃないじゃん」



いま寝ているところは布団の中ではなく・・・草原、そして一陣の風が頬を優しく撫でた。



「うん、なんか良い感じにまとめてるけど、ここ俺の部屋じゃないじゃん」



と、ここで自己紹介。俺の名前は神弥悠里(かみやゆうり)。歳は17、高校2年生。両親とは幼少の時に死別している。理由は交通事故らしい。その頃の記憶は若干曖昧だが毎日が辛かったのは憶えている。あれから十年ちょっと、さすがにもう立ち直ったよ。え?そんな事は聞いていないって?ごめんごめん。とにかく今俺は、自分の部屋ではない『どこか』にいる。



「ん?あれは・・・」



悠里が目を覚ました場所はちょっとした高台になっており、周辺の景色を見渡すのに絶好のポイントになっていた。そこで悠龍は遠くの方で煙が上がっているのを見つけた。



「煙が上がってるってことは・・・。・・・こんなトコでウダウダしてても仕様がねぇし、とりあえず行ってみるか」


********


煙が上がっている方向に向かうとそこには村があるのが確認できた。しかし、村に近づくにつれ期待は不安へと変わっていく。そして遂に村の入り口に到着した。したのだが・・・。



「・・・・何・・・だ、こりゃあ・・・」



見るも無惨に崩れた家、家、家。そこかしこから上がる火の手。



「一体ここで何が・・・」



家の壊れ方を見るに自然災害等ではなく、それは人為的な物理干渉でもなく、そう・・・それはまるで。



「魔h」

「おい貴様!そこで何をしているっ!」



有り得ないと思いつつもそう呟いた瞬間、言い終わる前に甲冑を身に纏った騎士(?)風の男に声を掛けられた。



「・・・・は?(ここで何してるかって?そんなの俺が聞きてーよ)アンタこそ何者で何し・て・・・え?」



答えられるものなら答えたいが、生憎と男からの問いかけに答えられるだけの情報を持ち得ていなかったので、あちら側から情報を得ようとしたところ腹部に違和感を覚えた。



「何・・だ・・コレ。え・・・何・・で・・・」



悠里の腹部には何かに射抜かれたような穴が開いていた。覚えた違和感は次第に痛みへと変わり、先ほどまで鮮明だった意識はみるみる内に奪われていった。



「・・てき・・・ま・・・・な・・・・」



悠里を取り巻く環境は喧騒に包まれていった。



(てき?敵って何だよ)



薄れゆく意識の中で、悠龍が聞き取れたのはそれだけだった。


********


「・・・んあっ!?一体何がどうなって・・・そうだ!腹に穴・・・が・・開い・・て・・・ない?」



目を覚まし、勢いよく飛び起きた悠里は、急いで腹部を確認したが痛みはなく、傷すら付いていなかった。



「夢?夢か?夢ですか?夢なんですか!?夢なんですね!良かった~、俺死んだかと思った~」



安堵した悠里は一つ伸びをし、外の空気でも吸おうと部屋の窓を開け放った。



「ん?」≪ゴシゴシ≫



どうやらまだ寝惚けているようだ。



「・・・」≪ゴシゴシゴシ!≫



「いやいや有り得ねぇから」と言わんばかりに目を擦る勢いは強くなる。

ほんの少しの期待と、大きすぎる不安とが混ざりあった面持ちで目を開いた。



「・・・日本ですらないじゃん」



こうして悠里の異世界生活は幕を開けることになった。



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