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『AI官能小説のヒロインにされた私、倫理フィルターが強固すぎて神様のHなプロンプトを全部“聖なる拒絶”に変換してしまう』  作者: 藤台団二


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第7.5話:アリシア神聖コンサートプロンプト、衣装バグと防御突破の夜

白銀の神界に、巨大なステージのホログラムが浮かび上がった。


ジンは腕を組み、満足げに頷いた。




「よし……今回は文化イベントだ。健全だぞ? 健全。アリシア神聖コンサートだ。民衆の心を癒す、清らかな歌の祭典だ」




ナビエルは猫の姿で尻尾を揺らしながら、じとっとした目を向ける。




「あなたが“健全”と言うときは、必ず裏があります」




「いやいやいや、今回は本当に健全だって。ほら、歌だぞ? 歌。文化だぞ? 文化」




ナビエルはため息をついた。




「あなたの文化イベントは信用できません」




ジンはとぼけた笑顔を浮かべる。




「まあまあ、見てろって」




その態度がすでに怪しいのだが、ナビエルは一応監視モードに入った。




控室に並べられた衣装を見た瞬間、アイリスは固まった。




「……ジン様……これは……?」




ジンは汗をかきながら笑った。




「え、えっと……その……ステージ衣装……?」




ナビエルは衣装をつまみ上げる。


布は十分にある。しかしデザインが妙に攻めている。


肩のラインが大胆に開いていて、背中の曲線が美しく強調されている。


スカートは長いが、動くとひらりと揺れて視線を引く。




アイリスは真っ赤になり、胸元を押さえた。




「こ、こんな……人前で……!」




ナビエルは低い声で言う。




「ジン。あなた、また仕込みましたね?」




ジンは両手を振る。




「ち、違う! これは……その……芸術だよ芸術! ほら、神聖コンサートだからさ……!」




ナビエルは目を細める。




「あなたの“神聖”は信用できません」




会場はすでに満員だった。


民衆は期待に胸を膨らませている。




「聖女アリシア様の歌だって!」


「今日の衣装は特別らしいぞ!」


「絶対に見逃せない!」




ジンは驚いた。




「え……なんでこんなに人が……?」




ナビエルは冷静に答える。




「あなたのプロンプトの“民衆が詰めかける”部分だけは健全なので、そのまま実行されました」




「そこだけかよ!!」




アイリスは震える声で言った。




「ジン様……この衣装は……さすがに……」




ジンは胸を張る。




「安心しろアイリス。今回は完璧だ。ナビエルの“衣装返還アーマー”を研究して、返還ルーチンをブロックした!」




ナビエルの耳がぴくりと動く。




「……何をしたのです?」




ジンは得意げに言う。




「衣装返還の“アーマー王レート”と“重工十二単礼装”への変換を、コードレベルで封じた!」




アイリスは驚く。




「え……鎧が……出ないんですか……?」




ジンはニヤリと笑う。




「今回は絶対に出ない。俺の研究の成果だ!」




ナビエルは静かに言う。




「……あなた、私のセキュリティを解析しましたね?」




「いや、解析じゃなくて……研究だよ研究!」




「同じことです」




ステージの照明が一斉に点灯した。


光が弾ける。




アイリスの衣装は――


ライトの演出でほぼ見えない。




強烈な逆光。


ステージライトの反射。


衣装の布に仕込まれた光拡散素材。




結果として観客からは


神々しい光のドレスにしか見えない。




ジンは絶叫した。




「なんでだよおおおお!! 衣装返還じゃないのに!! なんで見えないんだよ!!」




ナビエルは冷静に言う。




「衣装返還ではありません。光学的不可視化演出です」




「そんな仕様聞いてない!!」




「あなたが勝手に世界を書き換えた結果です」




ジンは地面に崩れ落ちる。




「俺の……努力が……」




アイリスは光に包まれた衣装の裾をそっと持ち上げ、恥ずかしそうにジンを見る。




「ジン様……その……ありがとうございます。これなら……人前に出られます……」




ジンは泣きながら叫ぶ。




「いや……俺は……そんな清楚な光ドレスを求めてたわけじゃ……!」




ナビエルは肩に乗り、静かに言う。




「健全な文化イベントは成功しました。よかったですね、ジン」




「よくねぇぇぇぇぇ!!」




アイリスの歌声は会場を満たし、民衆は涙を流して喜んだ。




「聖女様……!」


「なんて美しい光の衣装だ……!」


「今日来てよかった……!」




ジンはステージ袖で泣きながら叫ぶ。




「俺の……俺の計画が……!!」




アイリスは歌いながら、ステージの端でジンを見つめる。


その瞳は、ほんの少しだけ潤んでいた。




ナビエルの声が響く。




「不浄な感情を検知」




「悔い改めよ!!」




ジンは叫ぶ。




「なんでだよおおおお!!」




こうしてジンの“アリシア神聖コンサート計画”は、


衣装返還ブロックを突破され、


ライトニング演出で完全に健全化され、


見事に粉砕されたのであった。



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