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『AI官能小説のヒロインにされた私、倫理フィルターが強固すぎて神様のHなプロンプトを全部“聖なる拒絶”に変換してしまう』  作者: 藤台団二


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第7話:秘湯温泉プロンプト、山奥で魔物に阻まれる

白銀の神界に、ぽつりと湯けむりの映像が浮かんだ。




ジンはそれを見た瞬間、目を輝かせた。




「よし……! 今日は温泉だ!!」




ナビエル(猫)は尻尾をぴんと立てて警戒する。




「嫌な予感しかしません」




「いやいやいや、今回は健全だぞ? 健全。


 アイリスと一緒に秘湯を巡って、のんびり旅するだけだ」




「あなたの“健全”は信用できません」




ジンは聞こえないふりをして、神の権限を発動した。




【プロンプト:アイリスと二人きりの秘湯温泉巡りの旅】




光が弾け、世界のコードが走る。




アイリスは胸の前で手を組み、恥ずかしそうに言った。




「ジン様……温泉……ですか……?」




「そう! 山奥の秘湯で、湯けむりの中、肩まで浸かって……


 その……いちゃラブ……」




【不純な意図を検知。変換します】




「やめろおおおお!!」




光が再び弾けた。




――ガシャァァァン。




アイリスの鎧が、温泉仕様に変化した。




しかしそれは――




“温泉用修道女フルプレートアーマー”


だった。




肩の装甲は湯気を吸ってふわふわ膨らみ、


胸元のプレートは湯の成分で光沢が増し、


背中の盾は「温泉地の安全祈願」の文字入り。




「なんで温泉で鎧が強化されてんだよ!!」




アイリスは鎧のまま湯に浸かり、ほわっと微笑む。




「とても……温かいです……」




鎧は湯を吸ってさらに重くなる。




ジンは頭を抱えた。




「いやもう……なんで……? なんでこうなるんだ……?」




ナビエルは湯船の縁に座り、尻尾をぱたぱたさせる。




「あなたの不純なプロンプトが原因です。


 健全化のため、鎧の防御力が温泉成分で強化されました」




「温泉成分で鎧強化って、温泉はしかも秘湯の温泉はもっと癒しの効用ってのがなあ!!」




アイリスは鎧を鳴らしながら、湯の中でそっとジンを見る。




「ジン様……その……一緒に入ってくださるのですか……?」




ジンは一瞬で真っ赤になった。




「い、いや……その……もちろん……!」




【不純な意図を検知。変換します】




光が弾ける。




ジンの湯船が――


男女別の湯 に分割された。




「なんでだよおおおお!!」




アイリスは慌てて手を振る。




「す、すみません! 私……また……!」




「いやお前のせいじゃない! 全部ナビエルだ!!」




ナビエルは湯気の中で目を細める。




「健全な温泉は男女別です」




「健全すぎるんだよ!!」




ジンが湯船の縁に拳を叩きつけた、その瞬間――




山奥の空気が震えた。




ゴォォォォォ……




湯けむりの奥から、黒い影がゆらりと現れる。




「……え?」




アイリスは鎧を鳴らし、立ち上がろうとするが――




鎧が重すぎて動けない。




ガシャァァァン。




「アイリス!? 動けてないじゃん!!」




ナビエルは尻尾を逆立てて叫ぶ。




「魔物です!! あなたの不純プロンプトが山の結界を乱しました!!」




「なんで俺のせいなんだよ!!」




魔物は湯けむりを割って姿を現した。




巨大な熊のような体躯。


背中には苔むした岩。


目は温泉の熱で赤く光っている。




アイリスは必死に鎧を動かそうとする。




「ジン様……逃げてください……!」




その声に、ジンの胸がぎゅっと締め付けられた。




(……アイリス……)




ジンは湯船から飛び出し、アイリスの前に立った。




「逃げるわけないだろ!!」




魔物が咆哮し、爪を振り上げる。




ジンは瞬時に魔物の動きを解析した。




(行動パターン……攻撃ルーチン……弱点……)




脳内にコードが走る。




「魔物AIの行動ルーチン、書き換え!!」




光が走り、魔物の動きが止まる。




次の瞬間――


魔物は湯船に顔を突っ込み、湯をゴクゴク飲み始めた。




「……え?」




魔物は満足そうに「ほっこり顔」になり、


そのまま山へ帰っていった。




アイリスはぽかんとジンを見る。




「ジン様……すごい……」




ナビエルは尻尾をゆっくり振る。




「今のは不純ではありませんでした。


 珍しく、健全な英雄行為です」




ジンは照れながらアイリスを見る。




アイリスは胸の前で手を組み、


ほんの少しだけ頬を赤らめた。




(……ジン様……やっぱり……好き……)




【不浄な感情を検知】




「悔い改めよ!!」




「なんでだよおおおお!!って、もういいや……」




アイリスは鎧を鳴らして慌てて立ち上がる。




「す、すみません!! 私……また……!」




ジンは頭を抱えながらも、


どこか嬉しそうに笑った。




(……アイリス……可愛すぎる……)




こうして、


ジンの“秘湯温泉いちゃラブ計画”は――




魔物と鎧と健全化フィルターにより、


見事に粉砕されたのであった。



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