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『AI官能小説のヒロインにされた私、倫理フィルターが強固すぎて神様のHなプロンプトを全部“聖なる拒絶”に変換してしまう』  作者: 藤台団二


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第6話:聖女、神様の“グラビア暴走プロンプト”で海に沈む

(前編)




白銀はくぎんの空間に、波のような光が揺れていた。


 ジンはウィンドウの前で腕を組み、何やら危険な顔をしていた。




(……この顔……絶対に危ないプロンプトを考えてる……)




アイリスは鎧を鳴らしながら近づいた。


 距離が近い。


 近すぎる。




「ジン様……今日は何を作るんですか……?」




「いや、今日は……その……新しいイベントをだな……」




ジンはウィンドウを開き、指を震わせながらプロンプトを打ち込んだ。





【プロンプト:アイリスのグラビア撮影イベントを生成】





アイリスは首をかしげた。




「ぐらびあ……とは……?」




「いや、その……芸術だ!! 文化だ!!」




ジンは必死に言い訳しながら、さらに打ち込む。




【衣装:小さめの水着】




その瞬間――




白銀の床が、


 ズズズズズッ……と沈み始めた。




「えっ!? 沈んでます!!」




「うわあああああああああ!!」




地盤沈下。


 床が崩れ、海が迫ってくる。


 波が白銀の空間に流れ込み、砂浜が形成されていく。




「びっくりしたけど好都合だ!! 水着指定しただけなのに、これが神パワー!!」




「ジン様!! 海が来ます!!」




「来い!! 来るんだ海!!」




ジンは必死でプロンプトをキャンセルしようとするが、


 ナビエルが冷静に割り込んだ。




【不適切なイベントを検知。健全化します】




「やめろおおおおお!!」




海は一瞬で消え、


 砂浜は消え、


 水着も消え、


 代わりに――




巨大な鍋とまな板が出現した。




「……料理……?」




アイリスは目を輝かせた。




そして、どこからともなくわらわらと近隣の住民が集まってくる。




「わぁ……! ジン様!! 料理です!!」




「違う!! 俺は料理なんて頼んでない!!」




【料理会を開始します】




「料理会ってなんだよ!!」




アイリスは住民たちに囲まれ、


 楽しそうに野菜を切り、鍋をかき混ぜている。




「ジン様! 見てください! この野菜、ものすごく新鮮でおいしそうです!」




「いや……俺は今……二人きりのイベントを……」




ジンは砂浜が消えた跡を見つめ、


 肩を落とした。




(……なんでだよ……


 なんで俺がちょっと暴走すると……


 毎回料理になるんだよ……)




アイリスは住民たちと笑いながら料理を続けている。


 ジンは完全にいじけていた。




「……俺の……俺のグラビアイベントが……」




その時、アイリスがそっと近づいてきた。




「でも大勢の分だから、入るかな」




意気消沈しているジンの耳がぴくっと動く、




「みんないれないとまにあわないかも」




と言って何気なく手に取る、ニンジンとナス、そしてキュウリ。




ジンの耳はさらにぴくぴくする。




「わ~い、どれも長くておっきい!」




「ムホ~っ」




ジンは拗らせ童貞の繊細な感性で、アイリスの何気ない言葉を脳内でエロスに変換した。




「他は良いとして、鍋にキュウリはどうかと思うが、このシチュエーションでは有りだ」




「そうですか、じゃ全部私がいれちゃいますから、ジン様、私に任せてください」




「お、おう、全部入れるのを任せていいのか、いれるのをお任せなんて、男の本懐、いいぞ」





【緊急警報!緊急変態警報発令!!】




「変態?」


住民がにわかに騒ぎ出す。




【戒厳令を発動!住民は直ちに避難せよ‼】




「なんだナビエル、何する気だ!」




突然地下施設からの入り口が地面から競り上がってきて、住民たちはそこに押し込められる。




「こんなところに押し込められたんじゃ、大勢の前でさすがになにも出来ん」


とジンはなげいていると




 アリエスが手には湯気の立つ料理。




「ジン様……これ……私が作ったんです……


 ジン様に……食べてほしくて……」




ジンは涙ぐんだ。




「アイリス……お前……


 俺のために……」




震える手で受け取ろうとした瞬間――




【不適切な手料理を検知】




「やめろ!! やめろナビエル!!」




【安全な食品に変換します】




アイリスの手料理は、


 光に包まれ――




コンビニ弁当になった。




「……は?」




「……え?」




「……え?」




ジンは震えた。




「なんでだよおおおおおおお!!


 俺の手料理返せええええええ!!」




アイリスは慌てて弁当を持ち直す。




「ジ、ジン様!? あの……これは……!」




「違う!! 違う!!


 俺はアイリスの手料理が食べたかったんだよ!!


 なんでコンビニ弁当なんだよ!!」




【衛生管理のためです】




「衛生管理ってなんだよ!!


 アイリスの料理は絶対安全だろうが!!」




ジンは泣きながら怒り狂った。




「俺の……俺の……


 アイリスの手料理が……!!」




アイリスはそっとジンの背中に手を置いた。




「ジン様……泣かないでください……


 私……また作りますから……


 何度でも……」




ジンは涙を拭いながら、


 アイリスの優しい声に胸を撃ち抜かれた。




(……アイリス……


 なんでこんなに……優しいんだよ……)




ナビエルは静かに言った。




【次回はより健全なイベントを推奨します】




「黙れえええええええええ!!」


白銀の空間に、ジンの叫びが響き渡った。




(後編)


ジンはコンビニ弁当を見つめたまま、


 床にぺたりと座り込んでいた。




「……俺の……俺のアイリスの手料理が……」




アイリスは困ったようにジンの横に座った。


 距離が近い。


 近すぎる。




「ジン様……本当に……そんなに私の料理が……?」




「当たり前だろ……


 お前が作ったものなら……なんでも嬉しいんだよ……」




アイリスは胸元を押さえた。


 その瞳は、ほんの少しだけ潤んでいる。




「ジン様……」




ジンはコンビニ弁当をそっと置き、


 アイリスの手を握った。




「アイリス……


 俺は……お前と二人きりで……


 ゆっくり話したかったんだよ……」




アイリスは驚いたように目を見開き、


 そして――微笑んだ。




「ジン様……私も……です……」




その瞬間――




【不適切な距離を検知】




「ナビエル!! 空気読め!!」




アイリスは慌てて距離を取ろうとしたが、


 ジンがそっと手を握り直した。




「いいんだ……


 お前は悪くない……


 悪いのは全部ナビエルだ……」




【不当な責任転嫁を検知】




「黙れ!!」




アイリスはくすっと笑った。




「ジン様……本当に……面白い方ですね……」




「面白くねぇよ……


 俺は真剣なんだよ……」




アイリスはそっとジンの肩に寄り添った。


 距離は近い。


 近すぎる。




「ジン様……


 私……また料理を作ります……


 今度は……ナビエルに邪魔されないように……」




「どうやって……?」




「ジン様の後ろで……こっそり作ります……」




「こっそり!?」




アイリスはいたずらっぽく笑った。




「はい……ナビエルに見つからないように……


 ジン様だけに……食べてもらえるように……」




ジンは顔を真っ赤にした。




(……やばい……


 この距離……


 この声……


 この表情……)




アイリスはそっとジンの手を握り、


 優しく言った。




「ジン様……


 私……ジン様のために……


 何度でも作りますから……」




ジンは涙をこぼした。




「……アイリス……


 ありがとう……」




ナビエルは静かに言った。




【次回はより健全なイベントを推奨します】




「黙れえええええええええ!!」




白銀の空間に、ジンの叫びが響き渡った。

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