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第7話:絶望の叫び

5/4 0時ごろ一本追加、

同じく

5/4 7時ごろ一本追加、

予定です。もしよければ見て行ってください

神官たちが布で石碑を拭っている間、佐藤は加藤あやかが連れて行かれた

扉の奥が気になって仕方がなかった。


(あいつ、大丈夫かな。だけど、なぜあやかだけ別室なんだ……)


不安が募る中、「清掃が終わりました。次の方、前へ」と神官の声が響く。

いよいよ、佐藤の番だ。


案内されるまま、佐藤は石碑に両手を触れる。

強烈な光が弾け、石碑の表面に複雑な紋様が浮かび上がったが、

……全く読めん、と思わず心の中で突っ込んだ。

言葉は理解できるのに文字が翻訳されないのは、あまりに不便すぎる。

異世界ものの漫画なら、転移特典でセットになっているはずなのに。

こういうの普通はデフォルト翻訳機能とか付いてくるんじゃない?

佐藤は心の中で悪態をつく。


「……おおっ! この者も『二つのスキル』持ちですぞ!」


神官叫び、城内が再びどよめきに包まれる。

佐藤の心臓も大きく跳ねた。


(え、マジで? 俺、実は隠れた才能があったのか……!?

いやいや、さっきのあやかみたいに『実は間違いでした』なんてオチじゃないだろうな?)


疑心暗鬼な佐藤とは対照的に、王族たちは「このものたちは当たりだな!」

と身を乗り出して喜んでいる。

だが、神官が奇妙な顔をしながら読み上げる


「申し上げます。スキル名は……【ライティング】です」


城内が一気にざわついた。「なんだそれ」「電撃?」「それは違うでしょ」

とクラスメイトたちの声が聞こえる。

目立ちたくない佐藤にとっては、最悪の空気だった。

だが、国王の反応は他と違っていた。


「ライティングだと……?」


国王は急に口を噤むと、背後に飾られた魔王の翼を忌々しげに睨みつけはじめた。


「聞いたこともないスキルだ。一体、どんな力だ」


国王が黙ったので、代わりに横にいた王子が尋ねる。神官が佐藤に向かいレクチャーを始める。


「君、両手を前に出して、【ライティング】と念じてみなさい」

「(マジかよ、恥ずかしい……)えっと、ライティング?」


佐藤が困惑しながら呟くと、手元に淡い光が集まり――。


――ポトッ。


力なく何かが床に落ちた。佐藤がそれを拾い上げる。


「……用紙? それに、羽根ペンとインク……?」


王宮が、水を打ったように静まり返った。


「ふん、役に立ちそうにないゴミスキルだな。ええい、もう一つはどうだ!」


焦れた国王に急かされ、神官が青ざめた顔で鑑定結果を読み上げた。


「……もう一つは、【強制締め切り】。……一定時間内に成果を出せねば、

ペナルティが与えられるという、完全なバッドスキルです……」

「何だと!? そんな無能、生かしておいても無駄だ。即座に首を跳ねてしまえ!」


クラスメイトたちの悲鳴が上がる。冗談じゃない、と佐藤は天を仰いだ。


「陛下、お待ちください! さすがに召喚者様をそのように扱うのは……」

「お父様、少しお考えになって!」


神官や王女が抗議するが、国王は激昂して椅子を叩いた。


「ならん! 我が国に無能は不要だ! 鑑定の儀が終わるまで、地下牢にでもぶち込んでおけ!」


佐藤が声を漏らす暇もなく、屈強な兵士たちに両脇を掴まれた。


「まて、まて、待ってください! 俺が何をしたって言うんだ!」

「黙れ、無能が! さっさと予の前から消えろ。

忌々しい……『書く』などというスキル、存在自体が不快だ!」


ヒステリックに叫ぶ国王は、呼吸困難に陥り、椅子から崩れ落ちそうになった。

慌てて王子がその身体を支える。


「父上!」

「お父様!」

「消えろ……消せ……」


背後に向けられる呪詛のような声は、今の佐藤の耳には入っていなかった。

ズルズルと引きずられていく視界の先、謁見の間の床にポツンと残されたものが見えたからだ。


「待って……待ってくれ! 俺の、俺の大事なお宝がぁ――!!」


死守してきたキャリーバッグ。その中に詰まった、全財産である新刊同人誌。

必死に手を伸ばすが、指先は届かず、重厚な扉が無情にも閉ざされた。


「せめて新刊の同人誌を読ませてくれー!!」


薄暗い廊下に、佐藤の絶叫が虚しく響き渡った。

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