見えない壁③
〈マイ〉
「ただいま戻りました~…?」
私は、アジトに帰ってきた。
あの二人の陽動に成功したので、その報告に。(ちょっと話盛り上がっちゃった)
で、アジトには誰かしらいるのが普通なのだが、現在、誰もいない。
ふと目線を下に向けた、ちゃぶ台の上にはメモが置かれていた。
{マイ、陽動作戦ありがとう。
これから俺とカエデは攻撃に出てくる。
ついてくるんだったら、三番街の通りに、
避難するのであれば、このマンションの裏口を通ってまっすぐだ。
申し訳ないが、おそらく作戦は失敗だ。
二日後、フィルド・ノーズ博物館で落ち合おう。
クロダ}
〈マイ〉
「あらま」
キャプテンにしては、ずいぶんと後ろ向きな言葉がつづられていた。
いつもなら、走り書きで{作戦は成功する(≧∇≦)b}って書いてあるんだけどな。
私は少し落ち着きたい。彼女たちは外で待ってもらっているから手早く。
…どうするのが正解だ?
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〈セレ〉
「おっ、お帰り~」
〈ミーヤ〉
「トイレ大丈夫だった?」
〈マイ〉
「ごめんごめん、ありがとうね」
私はそのままのルート、三番街の通りに進んだ。
クロダの能力なら、体術で戦ってくるタイプは完封できると判断した。
申し訳ないが、いま後ろにいる彼女たちには、死んでもらおう。
〈マイ〉
「二人は、休憩とか大丈夫?」
二人とも「だいじょぶ!」と元気いっぱいに返してくれた。
これで、能力が使えるようになった。
私の能力は、「自分の質問を、対象が応答する」ことで使える。
さっきの戦闘でも、ここまでの他愛のない雑談でも、ずっと質問し続けた。
そのたびに、私は、彼女たちの心、言ってしまえば感情の中に入り込むことができた。
後は、怪しまれないように、私を信じてもらうだけ。洗脳だ。
精神の完全掌握は、だいたい10回ぐらいのペースで完成する。
これで八回目、能力を使おうとした時だった。
ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ
思わず顔をしかめて、音のした方を見た。
…コンクリートマンションが崩れていく、すべての部分に亀裂が入って、裂けるみたいに。
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運動神経がいい人は、軒並み下半身と体幹がいい人だ。
さっきから背中にくっついているが、思っていた以上に揺れない。
メリーゴーラウンド以上、ポニー以下ぐらいの揺れ。
そんなことを思いながら僕はマントを押しのけて、外の様子を見た。
〈ジャスティス〉
「おぉ、寝てるのかと思った」
〈シャル〉
「今日一番起きるの遅かったもんね」
〈ミドリ〉
「さすがに寝ないわ」
…少し疑問がある。
さっきまでの移動の間、外は何も音がしなかったわけだが。
二人の会話すら聞こえないことはありえるのだろうか?
〈ミドリ〉
「あの~… 二人って知り合いだったりするんですか?」
シャルさんは、少し答えにくそうにしていた。
〈ジャスティス〉
「まぁ、会ったことはあるが、その、えー、複雑な関係なのだが」
あぁ、そういえばシャルさん、捕まってたんだった。
〈シャル〉
「…ミドリ、あまり言葉だけで全てを考えない方が良いよ、
人間はもしかしたらそうなのかもだけど、言葉には、見えない壁がある」
〈ミドリ〉
「なんか、、ん?」
謝ろうとしたとき、僕は前方に誰かいるのを見つけた。




