空想質量⑤
〈ジャスティス〉
「すまないが、席を外してほしい」
部屋には、重たい雰囲気が流れている。
シャルさんはコクリと頷き、扉を閉めた。
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「ーーーつまり、私は足止め役ってわけ」
目の前には、大人びた女性が立っていた。
服の胸元が開いていて、地肌にタトゥーが掘り出されている。
〈ミーヤ〉
「私がやっていいかな?」
〈セレ〉
「何度も言ってるでしょ、切り口でバレるんだって」
〈???〉
「そうそう、傷の先端が二又になっちゃう」
〈ミーヤ〉
「………何で知ってんだろ~」
ミーヤの目つきが変わる、人に向けた目じゃない。
目の前にいるのが、生涯の仇であるかのようだった。
〈???〉
「だからね? あなたが来るしかないよ?」
女は、私に指を指す。
正直、この手のは苦手だ。
おそらくは、攻撃してから何かしらの能力で反撃が飛んでくるタイプ。
その証拠に、さっきの話している時、かなり隙だらけだった。
それに、彼女の目、何かが見えている気がする。
一歩だけ、距離を取った。
〈???〉
「早くしてよ、このまま時間がーーー」
風を切る音を纏って、ミーヤが駆け出していた。
〈セレ〉
「何してんの!?」
〈ミーヤ〉
「使わなきゃいいんでしょ!? 能力を!」
懐に入り込み、こぶしを思いっきり振る。空振る。
もう一度殴る。空振る。
不意にローキックを繰り出す。それも躱される。
〈ミーヤ〉
「クソ! でけぇ乳つけといて躱すんじゃねぇ!」
おお、そこまで言う?
普段あんなこと言わないんだけどな。
ん? 普段は?
よーく考えてみると、確かに変だった。
普段、ミーヤは大人しい。少なくともさっきの言動はありえない。と思いたい。
そして、今の私の奥手に走る考え方もおかしい。
私は能力の都合上、絶対に上向きに考えて行動しなければならない。
そうでもしないと、相手に対して優位に立てない。
つまり、彼女の能力は…
…コレ、どうやって戦えばいいんだ?
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〈ジャスティス〉
「まぁ、まずは君が人間ということについてだが」
先ほどのスピーチとは違う、鋭い目つきでこちらを見る。
あぁやっぱり気づくかぁ、怒られんのかな。
〈ジャスティス〉
「ま、いったん置いておくとして」
あ、結構重要なことなのに置いちゃったよ。
〈ジャスティス〉
「君の能力は、いわゆる禁忌の力だ」
〈ミドリ〉
「はい?」
君はまだ、この世界に来てから日が浅いと見える、説明してやろう。
死神にとっての能力、それはいわば不可侵、神の領域だ。
人間には、確認してきたがそういったものはない。
君のケースは、能力を作り出してしまったという部分に問題がある。
〈ミドリ〉
「…僕は、どうなるんですか?」
君がどうこうという話ではない。問題は施術をした側だ。
君が担ぎ込まれた病院の院長だが、すでに逮捕されている。
僕は安堵の息をついた。
牢屋の中は正直こりごり、無機質なコンクリートも飽きたし。
〈ジャスティス〉
「そろそろ本題に入ろう、君の能力は…」
そういればそんな話だったなこれ。
「見えない質量を生み出す能力、名前を付けるなら、空想質量」




