空想質量③
……人を抱えて走るのは、いつぶりだろうか。
昔は苦にもならなかった事が、今やってみるときつい。
結界の端についた時、私は息切れをしていた。
肩で息をしながら、あたりを見渡す。
〈セレ〉
(あれ? どこに出口が?)
困ったことに、出口が見当たらない。
いつもは、結界の一部分に穴が開いていて、外に救護場があるのが普通なのだが。
後から来た仲間たちに尋ねた。
〈セレ〉
「ねぇ、出口…」
〈ミーヤ〉
「ぜぇ…ぜぇ…」
〈シャル〉
「速いって」
〈レーナ〉
「ハァ…ハァ… 人抱えて何でそんな速く走れる?」
〈セレ〉
「今それはいいから、出口何処よ?」
〈レーナ〉
「はぁ、ここらへんだと思うんだけどね」
〈ミーヤ〉
「うえぇ、気持ち悪い、吐きそう」
パーティーは、なんか瀕死状態になっちゃった。
しばらく休憩して、近くを探すことにした。
その間も、ミドリの意識は戻らなかった。
〈シャル〉
「あ~ こっち来て?」
探し始めて三分ぐらい、シャルが何かを見つけたらしい。
なぜか物陰に隠れたように、ビルの後ろ側にいた。
〈シャル〉
「あれ見てみ?」
そう言われて見た先には、結界に向かって蹴りを入れている人がいた。
周辺には三人ほど、警備の服装をした人が倒れている。
なんとなく察した。
〈セレ〉
「ミーヤはだめ、私が行くよ」
〈ミーヤ〉
「え、何でぇ?」
〈セレ〉
「だって、口きいてくれなくなっちゃうじゃん」
ミドリはすでに切り傷を見ている。
ミーヤちゃんは気づいてないけど、最近ミドリは少しあなたを避けている。
〈セレ〉
「さすがに、パーティーが気まずいのは嫌だからね」
〈ミーヤ〉
「なるほど、納得~」
一歩前に踏み出す、相手がこちらを見た。
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誤算。
フツーに結界閉められちゃったよ、どーすんの?
私が逃走ルート確保しないといけないのに。
あと、警備の男ども弱すぎね!!
なーんも張り合いがないじゃないのよ、つまんないって。
…蹴破れたりしないかな。
「……がいく」
お、新しいチャレンジャーかな? 強い奴だといいけど。
「あのぉー、ここで何してるんですかぁ?」
「小細工はいらない、さっさとやろう」
「…はーい」
相手は女、三秒で伸ばせるね。残像を残して、私は急接近した。
おらっ、まずは足からぁ!!
高速で足をえぐりに行く、よけられた。
…え? よけられた?
さっきの男どもは、反応もできてなかったのに?
「えーと、エリー・ライさん?」
何でだ、それは私の名前だ。
女のほうを向くと、私の財布を女は持っていた。
あまりにも異質、私は後ずさった。
「女性にしてはやけに素早いね、そういう能力?」
汗が止まらない、私は怯えている。
「いや、本当ならパンツ取ったろって思ったんだよ、嘘、冗談」
こいつ、速すぎr
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〈セレ〉
「終わったよ~ん」
〈ミーヤ〉
「早くない?」
〈シャル〉
「もっと苦戦するかと思った、あの人、速いでしょ?」
〈セレ〉
「違う、能力で速かっただけだよ、大した事ない、動きも読めるし、残像も残しちゃ、まだ甘かったね」
空気がシーンとした。
何か間違ったこと言ったかな?
〈ミーヤ〉
「あの人、今どうなってる?」
〈セレ〉
「伸びてるだけだよ、あとで捕まえる、とりあえずもう行こう、結界は開いたよ」
私は、もう一度ミドリを抱きかかえた。




